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交通事故で高次脳機能障害と認定される条件

交通事故で高次脳機能障害と認定される条件

最終更新日:2023年6月22日

監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎

Q交通事故で高次脳機能障害と認定される条件は何ですか?
A次の3つの条件が必要です。

  • ①画像所見
  • ②高次脳機能障害を疑わせる傷病名
  • ③事故後の意識障害の所見

①画像所見

事故後の早い段階のCTやMRI画像の異常が必要です。

画像所見の有無は絶対的な条件ではありません。しかし、CT やMRIの画像所見がないと、高次脳機能障害認定の確率は低いです。

②高次脳機能障害を疑わせる傷病名

高次脳機能障害を疑わせる次のような病名等があることが重要です。ただし、病名は主治医が個別に決定するものです。そのため、病名は絶対的な基準ではありません。

  • 脳挫傷
  • びまん性軸索損傷
  • 急性硬膜外血腫
  • 外傷性くも膜下血腫
  • 前頭骨陥没骨折
  • 外傷性てんかん
  • 対側損傷
  • 外傷性くも膜下出血
  • 外傷性脳室内出血
  • 慢性硬膜下血腫

③事故後の意識障害の所見

事故直後の意識障害の所見が必要です。具体的には次の状況だと高次脳機能障害が認定されやすいです。

当初の意識障害が少なくとも6時間以上続いていること

意識障害とは半昏睡~昏睡で開眼・応答しない状態です。
JCSが3~2桁、GCSが12点以下です。

健忘あるいは軽度意識障害が少なくとも1週間以上続いていること

健忘あるいは軽度意識障害とは、JCSが1桁、GCSが13点~14点です。

画像所見が明らかではないとき

では、画像所見が明らかではないときは後遺障害は認定されないのでしょうか?
画像所見が明らかではない次の3つの事例で検討します。

  • 画像所見が明らかではなく、意識障害も認められないとき
  • 画像所見は明らかではないが、軽度の意識障害が認められるとき
  • 画像所見は明らかではないが、中等度以上の意識障害が認められるとき

画像所見が明らかではなく、意識障害も認められないとき

画像所見が明らかではなく、意識障害も認められないときは、異常が窺われても事故と因果関係を有さないという判断の確率が高いです。つまり、後遺障害とはならない確率が高いです。

画像所見は明らかではないが、軽度の意識障害が認められるとき

画像所見は明らかではないが、軽度の意識障害が認められるときは、異常が窺われても事故と因果関係を有さないという判断が多いです。つまり、後遺障害とはならないという判断が多いです。

ただし、意識障害の有無・程度・持続時間を参考に症状の経過を踏まえて「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)の後遺障害となる可能性があります。

画像所見は明らかではないが、中程度以上の意識障害が認められる場合

急性期や亜急性期にCTやMRIの画像が撮影されていない事例が想定されます。意識障害の有無・程度・持続時間を参考に症状の経過を踏まえて、高次脳機能障害が認定される可能性があります。

自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会

自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会は次の報告書を出しています。画像所見や意識障害の基本的な評価方法を報告書にまとめています。

まとめ:高次脳機能障害認定システム検討委員会

自賠責保険は、次の情報などを踏まえた審査を行います。

  • ①受傷後の詳細な意識障害の推移
  • ②高次脳機能障害の内容・程度(画像、神経心理学的検査、運動機能、身の回り動作能力、てんかん発作の有無、認知・情緒・行動障害、障害が社会生活や日常生活に与える影響等)
  • ③被害者側への日常生活状況の確認

頭部外傷の事故後早い段階の対応策

画像の撮影をお願いすること

頭部を打ったときはMRIやCT画像の撮影を医師や病院スタッフに早めに依頼しましょう。

何も問題がなければ安心です。

何らかの問題があれば治療をしましょう。画像所見があれば最終的に後遺障害が残った場合、高次脳機能障害と認定されやすいです。

意識障害があることを伝えること

意識障害があることを医師や病院スタッフに早めに伝えましょう。

明らかな意識障害は医師や病院スタッフが気付きます。しかし、軽度の意識障害は医師や病院スタッフが見落とすことがあります。被害者本人や家族が医師や病院スタッフに伝えましょう。

まとめ:交通事故で高次脳機能障害と認定される条件

交通事故で高次脳機能障害と認定されるためには次の3つの条件が必要です。

  • ①画像所見
  • ②高次脳機能障害を疑わせる傷病名
  • ③事故後の意識障害の所見

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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