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飲酒運転と保険利用

飲酒運転と保険利用

最終更新日:2023年7月18日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 佐藤 寿康

Q飲酒運転でも保険は使えますか?
A飲酒運転の場合、他人の損害を補償する保険は利用できることが多いです。他方、自分の損害を補償する保険は利用できないことが多いです。
飲酒運転

飲酒運転とは

飲酒運転とは、飲酒後にアルコールの影響がある状態で行う運転です。

飲酒運転として行政処分や刑事罰の対象となるのは①酒気帯び運転と②酒酔い運転です。
①酒気帯び運転は呼気中アルコール濃度0.15mg/l 以上のときです。
②酒酔い運転はアルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態のときです。

飲酒での運転全てが処罰対象となるわけではありません。

もちろん、少しでも飲酒した後の運転は危険ですので厳禁です。

飲酒運転と保険利用

では、飲酒運転でも保険は利用できるでしょうか?

保険の利用は大きく分けて2つのパターンがあります。他人の損害を補償する保険と自分の損害を補償する保険です。

他人の損害を補償する保険は飲酒運転でも利用できることが多いです。他方、自分の損害を補償する保険は飲酒運転では利用できないことが多いです。

飲酒運転と保険利用
損害の種類 保険利用の可否
他人の損害 利用できる
自分の損害 利用できない

注 約款や個別事案により異なることもあります。

被害者への損害賠償の補償は利用可能

飲酒運転でも被害者への損害賠償の補償に関する保険は利用可能です。自賠責保険、対人賠償責任保険、対物賠償責任保険などは利用可能です。

自分への補償は利用できないことが多い

飲酒運転だと自分への補償は利用できないことが多いです。人身傷害保険、搭乗者傷害保険、無保険車傷害保険などは利用できません。

行政処分や刑事処分となるのは呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上等のときです。基準以上で行政処分や刑事処分となるとき、自分への補償は通常利用できません。

では、基準未満で行政処分や刑事処分にならないとき、自分への補償は利用できるでしょうか?

特段の事情がない限り、基準未満で行政処分や刑事処分とならないときも自分への補償は利用できません。

具体例をご紹介します。

【事案の概要】

  • 事故前日の夜に少なくともビール500ミリリットルと焼酎の水割りを3杯飲酒
  • 翌日午前8時30分の事故
  • 呼気中アルコール濃度0.06mg/l(行政処分や刑事処分とならない程度)
  • 人身傷害保険や車両保険など自分への補償を保険会社に請求
  • 保険会社が支払を拒否
    (大阪高等裁判所令和元年5月30日判決の事案)

【裁判所の判断】

  • 通常の状態で身体に保有する程度を超えてアルコールを保有し、そのことが外部的徴表により認知し得る状態で車両を運転する場合は保険会社は免責となる。
  • ただし、酒気帯び運転をするに至った経緯、身体におけるアルコールの保有状況、運転の態様及び運転者の体質等に照らして、酒気帯び運転をしたことについて、社会通念上、当該運転者の責めに帰すことができない事由が存するなど特段の事情がある場合には、免責されない。
  • 呼気中アルコール濃度0.06mg/lであり保険会社は免責となる。
  • 保険会社の支払義務はない。

【弁護士のコメント】

  • 呼気中アルコール濃度の検査で何らかの異常があったとき、通常は自分への補償は利用できないでしょう。

まとめ:飲酒運転と保険利用

飲酒運転の場合、他人の損害を補償する保険は利用できることが多いです。他方、自分の損害を補償する保険は利用できないことが多いです。

飲酒運転と保険利用
損害の種類 保険利用の可否
他人の損害 利用できる
自分の損害 利用できない

注 約款や個別事案により異なることもあります。

(監修者 弁護士 佐藤 寿康

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