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運転者に過失があるときの同乗者の過失相殺

運転者に過失があるときの同乗者の過失相殺

最終更新日:2023年8月22日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 加藤 貴紀

Q運転者に過失があるとき、同乗者の賠償額も過失相殺の対象となりますか?
A運転者に過失があるとき、同乗者の賠償額も過失相殺の対象となることがあります。たとえば、次のような場合です。

  • 運転者と同乗者が夫婦のとき
  • 運転者と同乗者が同居の親子のとき
  • 運転者と同乗者が内縁関係にあるとき
運転者と同乗者

過失割合とは

過失割合とはどの程度どちらが悪いという責任の割合です。「10対0」「7対3」「80対20」などと言います。過失があると相手に請求できる金額が減ってしまいます。

運転者と同乗者の関係により結論が変わる

では、運転者に過失があるとき、同乗者の賠償額も過失相殺の対象となるでしょうか?

運転者と同乗者の関係により結論が変わります。

同乗者の賠償額も過失相殺の対象となるのは次のようなときです。

  • 運転者と同乗者が夫婦のとき
  • 運転者と同乗者が同居の親子のとき
  • 運転者と同乗者が内縁関係にあるとき

注 個別事案により異なる結論となることがあります。

同乗者の賠償額が過失相殺の対象とならないのは次のようなときです。

  • 運転者と同乗者の関係が友人や知人に過ぎないとき
  • 運転者と同乗者が別居で交際しているとき

注 個別事案により異なる結論となることがあります。

過失相殺の有無の基準

では、過失相殺の有無の基準はどのようなものでしょうか?

運転者と同乗者が身分上または生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の場合、同乗者の賠償額も過失相殺の対象となります。

他方、運転者と同乗者が身分上または生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者とは言えない場合、同乗者の賠償額は過失相殺の対象とはなりません。

過失相殺される具体例

では具体例でみていきましょう。夫の運転する車に妻が同乗し、交通事故の被害にあいました。
妻の損害額は1,000万円、夫の運転する被害車両と加害車両の過失割合は20対80です。妻が受領できる賠償額は800万円です。

【計算式】妻の損害額1,000万円×80%=800万円

運転者と同乗者が夫婦のとき、運転者に過失があると同乗者の損害も過失相殺の対象となります。

過失相殺されない具体例

友人運転車両に同乗し、怪我をした事案で考えてみましょう。

友人運転車車両に同乗中に事故にあい、500万円の損害を負ったとします。友人の運転する被害車両と加害車両の過失割合は10対90です。

この場合、受領できる賠償額は500万円です。運転者と同乗者が友人関係のとき、運転者に過失があっても同乗者の損害は過失相殺の対象となりません。

保険の種類により異なる結論の可能性

加害者の任意保険以外にも様々な保険があります。たとえば、自賠責保険や自分の自動車保険の様々な特約です。

保険の種類により同乗者の扱いは異なります。同乗者が事故にあった場合、保険の契約内容や約款を確認しましょう。

運転者に過失があるときの同乗者の損害賠償は複雑です。悩んだら、まずは弁護士への相談をおすすめします。

まとめ:運転者に過失があるときの同乗者の過失相殺

運転者に過失があるとき、同乗者の賠償額も過失相殺の対象となるのは次のような場合です。

  • 運転者と同乗者が夫婦のとき
  • 運転者と同乗者が同居の親子のとき
  • 運転者と同乗者が内縁関係にあるとき

注 個別事案により異なる結論となることがあります。

(監修者 弁護士 加藤 貴紀

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