時系列別、取るべき対応と注意点チェックリスト
大切な家族が交通事故の被害に遭った場合、どうすればよいのでしょうか?家族として、何をしてあげられるでしょうか?戸惑われることも多いのではないかと思います。
今回被害者のご家族の視点から、確認しておきたい点、注意すべき事項を時系列でまとめました。
適正な水準での解決、損害賠償金を獲得のためには、ご家族の協力が必要不可欠である場合があります。
チェックリストの中で疑問点、不安な点等ございましたらお気軽に問い合わせをいただき、交通事故について豊富な解決実績がある当事務所の無料相談をご利用ください。
交通事故直後の対応について
事故後1か月までの注意点について
事故後3か月までの注意点について
事故後6か月以降の注意点について
被害者のご家族の皆様へ
交通事故の被害に遭われた場合、被害者ご本人が元の生活を取り戻せるかは、ご本人はもちろんのこと、ご家族にとっても非常に大事な問題です。
例えば入院時などは、ご本人のみで病院から手術やリハビリの説明を受け、さらには保険会社への対応をすることは非常に大変です。
少しでも、早期回復を目指して、治療に専念していただくために、被害者のご家族のサポートが必要となる場合が多くあります。
しかし、被害者のご家族にとっても仕事や家事などがある中で、交通事故の煩雑な手続きを進めていくことはやはり容易なことではないはずです。
よつば総合法律事務所は、被害者のサポートに特化した法律事務所として、被害者ご本人とそのご家族の不安とご負担を取り除きます。
そして、皆様の立場に立って、適正な賠償を目指して、全力でサポートして参ります。
以下、被害者のご家族に特に知っておいていただきたいポイントをまとめました。
少しでもお役に立てば幸いです。
家族が交通事故被害で通院・入院された場合
入院時にかかった雑費
急に入院となった場合、様々な細かい物が入用になります。入院中にかかった雑費は、「入院雑費」として加害者に請求することができます。
入院雑費については、裁判では、諸雑費の支出額を逐一立証することは煩雑であり、また実益にも乏しいことから、入院1日当たりの金額を1,500円前後と定額化しています。
賠償の対象となる、代表的な「入院雑費」としては、(ア)日用品雑貨費(寝具・衣類・洗面具・食器等購入費)、(イ)栄養補給費(栄養剤等)、(ウ)通信費(電話代・切手代)、(エ)文化費(新聞雑誌代・ラジオ・テレビ賃借料等)、(オ)家族の通院交通費等があげられます。
なお、領収書等により、日額1,500円以上の入院雑費を支払ったことが証明できる場合にはその実費金額が賠償されることもあります。ただし、その金額を入院雑費として支払うことが必要かつ相当であることが認められなければならないでしょう。
また、家族の通院交通費は、付添の必要性がある場合には、入院雑費とは別に認められる場合もあります。
相手方の保険会社からの入院雑費の提案は、日額1,100円前後の場合が多いのが現状です。
一方で、裁判の場合には、よほどのことがない限り1日1,500円の入院雑費が認められることが多いでしょう。入院雑費は細かい損害項目ですが、1つ1つは細かい項目であったとしても数を集めると多額になることもあります。入院雑費についても忘れずに請求をしましょう。
入院付添費
入院中、ご家族が病院に赴き付添等を行うことも多いでしょう。
交通事故被害者が治療のために入院し、入院中に付添いの必要性があり、かつ、実際に付添いがされた場合には、相当な限度で、付添いのための費用が事故と相当因果関係のある損害として認められます。この損害を「入院付添費」といいます。
裁判の基準では、医師の指示または受傷の程度・被害者の年齢等により必要があれば職業付添人の場合には実費全額、近親者付添人は1日につき6,500円が被害者本人の損害として認められるとされています。(ただし、症状の程度により、また、被害者が幼児・児童である場合には、1割から3割の範囲で増額を考慮することが可能です。)
付添の必要性については、医師の指示があれば明確ですが、現在では医療機関において完全看護制度が前提となっているため、医師による要付添の証明はなされないことも多いです。ただし、必ずしも医師の指示がなくとも、意識覚醒のための声掛け、容体の変化の看視、体位変換による床ずれ防止、マッサージによる間接拘縮防止、食事、清拭、排泄といった日常生活動作の介助などを実際に行っている場合に付添の必要性が認められることも多くあります。
特に、重篤な脳挫傷・脊髄損傷、上肢・下肢の骨折などで身体の自由がきかない状態の場合には付添費用を認める裁判例が多くなっています。退院後のリハビリ移行を円滑にする目的、精神機能に与える効果、などを理由に付添費用を肯定する例もあります。
また、幼児・児童の場合には、低年齢で親が必要という事情から症状にかかわらず付添の必要性が認められることが多いです。
肉親の愛情・情誼により、危篤状態などの場合に、家族が医療機関に待機することが当然と思われる状態の場合には特段親族による看護の必要性がない場合であっても付添費用を認める事例があります。
入院付添の場合には、何のために付き添ったのかということが裁判で争いになることがあります。入院付添をしないとこのような問題点があった、入院付添をしないとこのような不都合があった等、入院付添が必要だった理由をできるだけ詳しく主張・立証することが重要です。また、実際に付き添った日を後から思い出すことは困難であることも多いですので、付き添った理由・内容などと共に日記などに記載しておくと、後から証拠として利用することも可能です。
入院付添費については、保険会社側から自動的に提案があるわけではありませんので、被害者の側で、忘れずに積極的に請求をしなければなりません。
通院付添費
付添費は、入院だけでなく、通院の場合も認められることがあります。
裁判の基準では、症状の程度が重い、または幼児であるなど必要と認められる場合には1日につき3,300円が被害者本人の損害として認めるとされています。(ただし、事情に応じて増額を考慮することが可能です。)
付添の必要性、相当性が求められることは入院付添費と同様ですが、幼児・児童の場合には、低年齢で親が必要という事情から症状にかかわらず付添の必要性が認められることが多いです。
下肢の機能障害などで移動に介助が必要となる場合、脳の機能障害などで医師の診察に介助が必要な場合などの場合にも、通院時の付添費が認められた例が散見されます。
交通事故被害で家族に後遺障害が残ってしまったら・・・
後遺障害の等級
懸命に治療をしたものの、残念ながら重度の後遺障害が残存してしまう場合、何らかの形で家族にも残存した症状が影響を及ぼすかもしれません。生涯にわたって、家族の助け・介護を必要とする、一家の大黒柱の収入が減り家計に負担をかけてしまうなどのケースが考えられます。
そのような場合、将来にわたる賠償(=後遺障害による賠償)を適切に評価しなければなりません。
将来にわたる賠償額の評価にあたっては、自賠責保険における後遺障害の等級評価が非常に重要な意味を持ちます。後遺障害の等級には、さまざまの基準、必要な医証がありますので、後遺障害の申請にあたっては適切に行う必要があります。
後遺障害の内容に関しましては以下をご覧下さい。
交通事故による後遺症が原因で将来介護が必要になったら・・・
将来介護費について
将来にわたる賠償の項目としては、逸失利益及び後遺障害慰謝料が代表的なものですが、ご家族が将来も介護を行うことが必要である場合、別途将来介護費の賠償が認められることがあります。
裁判の基準では、医師の指示または症状の程度により必要があれば被害者本人の損害として認められます。職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日につき8,000円とされています(ただし、具体的な看護の状況により増減することがあります。)
例えば、平均的な余命である20年間の間、毎日ご家族の介護が必要であるとされれば、単純計算で12.4622(20年間に対応するライプニッツ係数)×365日×8,000円≒3,640万円という非常に大きい金額が認められるのです。
将来介護費は、通常は、自賠責後遺障害の別表第1の1級及び2級の場合に認められていますが、具体的な状況次第では3級以下の後遺障害の場合でも認められることがあります。
特に、交通事故の高次脳機能障害の場合には、身体介護の必要性が少ない場合でも、見守り・声掛けのための付添・介護の必要性が議論されることが多いです。
職業介護を前提にするか、親族介護を前提にするかは具体的な事案ごとの事実認定によりますが、最近の傾向としては、現在は親族介護が行われていても、将来介護者が老齢化した場合には職業介護に移行するものとして算定を行う例が増えています。
また、平日は職業介護と夜間早朝の親族介護の併用、一定の曜日につき公的介護サービスを利用するなど、現実に併せた負担額を参考にする例も増えています。
施設における介護が予想されるときには、その費用の額をもとに算定します。なお、施設介護の状態が将来長期間にわたって継続するか否かを慎重に検討する必要があります。
将来介護費についても、請求をしないと保険会社からの示談案には記載されていないことも多いです。特に将来介護費は積算すると上述のとおり、その額も高額になることが多く、見落としてしまうと大変なこととなってしまいますので、必ず注意して下さい。
家族の負担は計り知れない・・・示談を慎重に検討するためには
示談の重要性
以上のとおり、交通事故の損害賠償の項目のうち、付添いの費用や、介護の費用など、ご家族の負担にかかるものも賠償の対象となることがあります。
注意しなければならないのは、これらの損害は、被害者側から指摘をしないと保険会社が必ずしも自ら指摘してくれるわけではないということです。
付添費や介護費など、ご家族の負担を考慮すれば全く違った賠償金額になったかもしれないのに、安易に示談をしてしまうことで、これが認められないことも十分にあり得るのです。大きな事故であればあるほど、慎重な検討が必要になってきます。
示談をする際には、全ての損害が適正に評価、算出されているか必ず確認して下さい。そのためには交通事故の賠償に詳しい弁護士にご相談いただくことを強くお勧め致します。