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交通事故知識ガイド後遺症(後遺障害)

大腿骨骨幹部骨折

解説者の弁護士川崎翔

大腿骨骨幹部骨折とは、人の体で一番最大の長管骨である大腿骨の骨折です。
極めて強い外からの力が生じることにより発生するため、交通事故によって発生することが多い骨折です。起立、自律運動が不可能となり、著しい痛みが生じます。

交通事故による下半身の骨折の中でも重度の骨折と言えます。

Q後遺障害認定のポイントはどのような点ですか。
A交通事故における大腿骨骨幹部骨折の場合には、手術が行われることが多いようです。
この場合、偽関節の場合には、8級9号が認定される可能性があります。

大腿骨が変形癒合する場合には、12級8号が認定される可能性があります。可動域の制限がある場合には、膝関節の可動域制限によって、1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を遺すものとして、12級7号(可動域4分の3以下)が認定されることがあります。

Q立証上のポイントはどのようなポイントですか。
A骨折ですのでレントゲン(XP)での撮影などにより証明するのが一般的です。
偽関節については、医師が診断書等に偽関節と書いているだけでは後遺症として認定されません。自賠責保険の認定における偽関節は癒合不全を残し、かつ、可動が異常な場合に限られます。
医師から偽関節の診断を受ける=1下肢に偽関節を残すものとして8級9号に認定されるわけではありませんので注意が必要です。

交通事故による股関節の可動域制限の場合には、正確に医師に測定を依頼すべきです。一度後遺障害診断書に可動域制限の度数の記載がなされると、一般に医師は修正には応じませんし、また、修正をしているという事実自体が合理的な理由がない限り後遺症の認定にあたって不利となることもあります。
交通事故の後遺障害診断書には、自覚症状の欄に常時痛みがあるのであれば常時痛い旨の申告を医師にして、自覚症状の欄に記載を依頼した方がよいでしょう。時々痛い、寒くなると痛い等の記載は、後遺症認定を否定する方向での記載となることが多いので注意しましょう。

大腿骨転部下骨折の場合、1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの(10級11号)として、可動域制限が2分の1以下となることは交通事故では一般には少ないようですが、まれに可動域が2分の1以下となることもあるといわれています。

長管骨に変形を残すもの(12級8号)に該当するためには以下の条件のいずれかを満たすことが必要です。

  • (ア)大腿骨に変形を残し、かつ、外部から想見ことができる程度(15度以上屈曲して不正癒合したもの)以上のもの
  • (イ)大腿骨の骨端部に癒合不全を残すもの
  • (ウ)大腿骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
  • (エ)大腿骨の直径が3分の2以下に減少したもの
  • (オ)大腿骨が外旋45度以上又は内旋30度以上回旋変形癒合しているもの
Q保険金額決定のポイントはどのような点がありますか。
A可動式制限はそのうち改善するとして、保険会社が逸失利益の期間を10年程度に制限してくる場合があります。当事務所の経験では、外資系の保険会社やネット販売を主にしている保険会社でそのような傾向が強い印象です。

しかし、可動域制限が10年で治るという根拠はありませんので、原則として67歳までの逸失利益を交通事故による損害として主張しましょう。
また、高齢者の場合には平均余命の2分の1の逸失利益を主張しましょう。
大腿骨骨幹部骨折の変形癒合の場合、逸失利益の算定において労働能力喪失率を少なめに保険会社が主張してくる場合があります。

ケースバイケースの判断になりますが、変形障害の事案の場合には、労働能力喪失率については、ある程度の線で和解をした方が判決よりも有利になることもあります。