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交通事故知識ガイド下肢及び足指

大腿骨骨幹部骨折

大腿骨骨幹部骨折の解説

大腿骨骨幹部骨折の種類
大腿骨骨幹部の厳密な定義については諸説ありますが、ここでは、大腿骨の中央部で関節のない部位を大腿骨骨幹部と呼ぶこととします。
交通事故では、大腿部に車の衝突などによる衝撃を受けたときなどに多く発生します。
衝突の衝撃で空中に投げ出され、膝を地面に打ちつけて転倒したときは、ねじれるように骨折します。
衝突の衝撃が相当に大きいときは、粉砕骨折に至ることもあります。
急性期の症状は、骨折した部位の腫れ、疼痛で、歩行は不可能な状態です。
大腿骨骨幹部は、血行が良好であるため、骨癒合がしやすく、良好に治癒することが多いです。
筋力が豊富な部位であることから、転位が大きな転位が生じやすく、そのため、徒手整復は困難です。

かつては、直達牽引+ギプス固定の保存療法が主体でした。
直達牽引+ギプス固定の保存療法
現在では、直達牽引後のギプス固定は、入院期間や歩行訓練までの期間が長くなること、遷延治癒や偽関節の可能性が高まること、患肢の筋萎縮や血行障害が起こることがあることといった問題があり、観血的手術を行って内固定をすることが多いです。牽引は、手術を行うまでの間、下肢短縮を防いだり整復位を保ったりする目的で行われます。
内固定には、髄内釘固定、プレート固定などがあります。開放骨折や粉砕骨折のときは、創外固定が行われます。
創外固定

大腿骨骨幹部骨折の後遺障害認定のポイント

考えられるのは、①変形癒合、②偽関節、③下肢短縮、④疼痛です。

1 変形癒合

真っ直ぐではなく、大腿骨が変形して癒合することがあるのですが、この変形が、15度以上曲がっている状態で癒合していると、「長管骨に変形を残すもの」(12級8号)が認定されます。曲がっていることが外から見て分かることが必要です。
回旋変形癒合

また、骨折部が外向きや内向きに不正癒合(回旋変形癒合)したときは、足の向きが曲がることになります。その角度が外旋で45度以上または内旋で30度以上であれば、「長管骨に変形を残すもの」(12級8号)が認定されます。画像上回旋変形癒合したことが認められることが必要です。

2 偽関節

骨折が癒合せずに症状固定となったときは、偽関節が残ったものとして、「一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」(7級10号)または「一下肢に偽関節を残すもの」(8級9号)に認定されることが考えられます。

3 下肢の短縮

骨癒合の結果、患肢が健側に比較して短縮することがあります。短縮障害が生じたときは、「一下肢を五センチメートル以上短縮したもの」(8級5号)、「一下肢を三センチメートル以上短縮したもの」(10級7号)、「一下肢を一センチメートル以上短縮したもの」(13級8号)が認定されます。ロールレントゲンフィルムを用いて測定することが必要です。

4 疼痛

疼痛の症状が残ったときは、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)または「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)の後遺障害に認定されることが考えられます。

5 後遺障害のまとめ

①変形癒合、②偽関節、③下肢短縮、④疼痛に関して以下に該当する可能性があります。

①変形癒合

「長管骨に変形を残すもの」(12級8号)

②偽関節

「一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」(7級10号)
「一下肢に偽関節を残すもの」(8級9号)

③下肢の短縮

「一下肢を五センチメートル以上短縮したもの」(8級5号)
「一下肢を三センチメートル以上短縮したもの」(10級8号)
「一下肢を一センチメートル以上短縮したもの」(13級8号)

④痛み

「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)
「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)

参考リンク