メニュー
交通事故知識ガイド高次脳機能障害Q&A

労災と自賠責で後遺障害等級が異なることはありますか。

弁護士からの回答

代表弁護士大澤一郎

あります。両者は類似の基準ですが別基準です。

労災について

通勤中の事故の場合や仕事中の事故の場合、労災保険の適用を受けることが可能です。高次脳機能障害の場合でも、労災保険の適用はもちろん可能です。

労災保険の高次脳機能障害認定システム

労災保険は、労働能力の観点を重視した認定基準となっています。具体的には、労災保険では、以下の4つの能力を重視した認定基準をとっています。

  • 意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
  • 問題解決能力(理解力、判断力等)
  • 作業負荷に対する持続力・持久力
  • 社会行動能力(協調性等)

意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力、社会行動能力は仕事を行っていく上で重要な能力ですので、上記の能力を重視した判断が労災保険ではとられています。

自賠責保険の高次脳機能障害認定システム

自賠責保険においては基準は非公表とされていますが、労災保険の認定システムに準拠したシステムをとっていると一般的には考えられています。しかしながら、高次脳機能障害においては、仕事の観点からのみではなく、日常生活への影響なども考慮した判断がなされるようになっています。また、高齢者・幼児などは労働能力という観点とは別の観点からの審査がなされています。

労災の方が等級が重いことがある

経験上、労災保険の方が等級が重いということはよくあります。例えば、自賠責では12級だったのに労災では9級であるというような事案です。このように、労災保険と自賠責保険において等級に差が出ることがあります。そのため、高次脳機能障害の労災の事案の場合には、自賠責保険のみならず、労災保険にも後遺障害申請をした方がよい事案もあります。(なお、経験上、労災の方が等級が軽いという事案はあまりありません。)

その他

  • 労災保険は事業主が書類作成を拒否している場合でも申立可能です。
  • 交通事故で当方の過失が大きい事案のような場合には、過失相殺のない労災保険及び過失相殺が緩やかな自賠責保険の申請を先行して行った方がよいことがあります。
  • 労災の等級と自賠責の等級が異なる場合には、異議申立により等級が変わる可能性がありますので、積極的に異議申立を検討するのもよいでしょう。
  • 特に、後遺障害5級、7級、9級は判断が微妙であることが多いので、7級、9級だった場合には、上位等級への異議申立を積極的に検討するのもよいでしょう。

高次脳機能障害Q&A一覧へ戻る