メニュー

交通事故の注目の裁判例

2015/07/22 更新

逸失利益算定における基礎収入

神戸地裁 平成26年10月31日判決

自保ジャーナル1939号

今回紹介する裁判例では、19歳女子大学生であった甲が交通事故にて死亡した際に逸失利益について、甲の将来の基礎収入でどの基準を採用すべきかという点が争点となりました。

甲側は、大学の学校教育教員養成課程・教育科学専攻(以下、「本専攻」という。)に在籍していた大学2年生であったこと等の理由から、賃金センサスで高等学校教員の全年齢平均賃金を基礎として、かつ、教員の給与については男女間の格差は考慮することは適当でないとして、男女合わせた平均値である年収715万9,000円を基礎収入とすべきと主張しました。

一方、その相手方は、教員として就職して仕事を継続できたかどうかは不明であるとして賃金センサスで大学・大学院卒かつ女性の全年齢平均賃金である448万2,400円を基礎収入とすべきだとして争いました。

裁判所は、主に以下の理由から、将来の蓋然性として、甲については高等学校教員として就職することまでは認めがたいが、小学校教員として就職することは認められるべきであり、かつ、男女間格差を考慮することは相当ではないとして、賃金センサスの各種学校・専修学校教員の全年齢平均賃金で男女合わせた平均値である503万7,200円を基礎収入として認定しました。

  1. 甲は、中学生のころから生涯の仕事として、その父(高等学校教員)と同じく教員になることをめざし、本専攻に進学して2年生であったこと及び、甲が県内の小学校において3週間の教育実習を行っていたこと
  2. 本専攻卒業者は小学校教員免許を取得でき、卒業要件以外の単位を併せて履修することにより教科ごとの中学校及び高等学校教員免許を取得できること及び、甲は小学校教員免許に加えて英語の高等学校教員免許の取得を希望していたこと
  3. 平成23年度の本専攻(小学校教員養成課程及び中学校教員養成課程に分類)卒業生の60%が教員(ただし、小中高校等の内訳は不明)として就職をしていること
  4. 平成24年の本専攻卒業生の約65%が教員(期限付き行使等含む)として就職し、そのうち約13%が公立学校の高等学校教員、約87%が公立学校の小中学校教員及び公立学校以外の教員であること

裁判所は、まだ学生であって就業前の場合には、通っている学校やその学校における活動、卒業生の就職データ、本人の希望、その職業の性質等を具体的に精査して判断しています。そのため、主張する将来の職業については、その職業につくことができる可能性が高いことを、多角的な視点で丁寧に主張・立証していくことが重要です。

交通事故の注目の裁判例

ご相談から解決までの流れ