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交通事故の注目の裁判例

2015/10/04 更新

無職者の休業損害

松山地裁 平成26年2月7日判決

自保ジャーナル1922号

求職中に事故に遭ってしまった被害者の休業損害を、前職収入の8割を基礎として、症状固定日までの全期間について認めた裁判例をご紹介します。

被害者は自転車走行中、被告自転車に衝突されて転倒し、右手首負傷、右大腿骨骨折等を負って右手首12級6号、右股関節10級11号の併合9級の後遺障害を残しました。

本件事故当時、被害者は、長年勤務していた幼稚園を退職して無職の状態で、ハローワークに通うなどして求職中でした。

原告は、本件事故当時、就労の意欲も能力もあったため休業損害が認められるべきであると主張して、前職給与の平均額を本件事故日から症状固定日までの13ケ月分、休業損害として請求しました。

これに対して、被告は、「原告は、本件事故当時、仕事をしておらず、現に収入を得ていないため、休業による収入減は生じていないから休業損害はない」という旨の主張をしました。

裁判所は、被害者の休業損害について、次のように判断して220万4,702円の休業損害を認めました。

  1. 原告は、幼稚園教諭2級普通免許及び小学校教諭2級普通免許を有していたこと、昭和55年4月から平成23年3月まで教諭として幼稚園に勤務していたこと、平成23年3月幼稚園を退職し、本件事故当時(平成23年5月18日)原告は無職ではあったがハローワークに通うなどして求職中であったこと、原告は本件事故後である平成24年9月から11月までパン屋で稼働したこと、原告は平成25年3月からは学童保育に従事するようになったことの各事実が認められる。
  2. 本件事故当時、原告には、就労の意欲及び能力があったことが認められ、本件事故がなければ原告は、実際よりも早期に就職し、収入を得ていた蓋然性があったことが認められる。
  3. 原告が直ちに就職していたかや、早期に就職していた場合の収入は必ずしも明らかではないことから、休業損害の算定の基礎収入は、原告の平成14年から平成22年までの平均収入額の8割に相当する203万5,110円をもって相当と認める。
    休業期間については、本件事故の翌日から症状固定日までの1年1ケ月の全期間について休業の必要性があったものと認める。

裁判例のなかには、通院期間中に再就職できた蓋然性があったとはいえないとして、無職の被害者の休業損害を否定するものもあります。

失業中の被害者が休業損害を請求する場合、労働能力や労働意欲に関する具体的事実をあげたうえで、事故がなければ早期に就職できた可能性が高いことを主張する必要があります。

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