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交通事故の注目の裁判例

2015/11/20 更新

醜状痕(12級)神経症状(14級)事例について逸失利益を多く認めた事例

神戸地裁平成27年1月20日判決

自保ジャーナル1953号

今回は、逸失利益(後遺障害の存在によって失う労働能力・利益)を具体的な主張に基づいて増額した判例をご紹介します。

原告(男性・会社員)は、自動車二輪車で進行中、車線変更をしてきた被告運転の原付自転車に衝突され、14級9号右膝痛、12級右上肢瘢痕、併合12級の後遺障害認定を受けました。

今回の裁判では、これらの後遺障害が、原告の労働に及ぼす影響、逸失利益がひとつの争点となりました。

裁判所は、症状固定後の原告の勤務状況や、具体的な主張に基づいて以下のように判断しました。

「(原告が)右膝痛のため、通勤時バス電車に乗り込むのが容易でなく、職場でも立ったり、座ったりする動作、階段の昇降等に支障を来していること、原告は本件事故当時、E株式会社に勤務し、システム設計・製作、現地での据え付け調整、顧客との折衝といった業務に従事していたが、本件事故後、前記瘢痕のため(シャツの腕をまくったり、半袖を着用することができない。)、原告の希望に沿わない生産関連の部署に配属され、社内のOA設備その他備品の運用・管理の仕事に従事するようになったこと、現在従事している業務は、備品の運搬・設置のためにかがんだり、立ち上がったりすることや階段の昇降が多いが、右膝痛のため、これらの動作に困難が伴い、作業能率が上がらないことから、本件事故後、基本給が減額されたこと、本件事故の前年である平成21年の原告の年収は556万9,829円であったこと、原告の勤務先は60歳定年であるが、現在65歳定年に移行しつつあることなどが認められる」

とし、

「(原告の右膝痛は)本件事故後4年以上を経過した現在でも継続していることや、本件事故による原告の受傷の内容や程度からすると、将来的に原告の症状が軽快ないし消失する可能性も乏しいと考えられる。
このような事情を総合すると、原告は、症状固定時である47歳から就労可能年齢である67歳までの20年のうち、55歳までの8年は10%、その後の12年は5%の労働能力を喪失するもの」

と判断しています。

14級9号に基づく神経症状は、労働能力喪失期間が少なくとらえられることが多いです。(むち打ち症の場合は5年程度とされることが多いです。)

また、瘢痕(醜状痕)に伴う後遺障害についても、その後の労働には影響を与えないと(労働能力の喪失がない)と反論されることが多いです。

これらの点について、本件判例は、右膝痛に伴う労働への具体的影響を判断し、瘢痕の影響も加味して、多めの逸失利益を認めた判例といえます。

本件では、裁判中に症状固定から既に4年が経過しており、この時の症状についても、具体的に主張立証したことが功を奏したとも考えられます。後遺障害の等級や一般論にとらわれず、個別具体的な事情を斟酌し、被害者に有利な判断内容を示したものとして評価できるでしょう。

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