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交通事故の注目の裁判例

2015/12/26 更新

高次脳機能障害と症状固定後の将来付添費

名古屋地裁 平成25年3月19日判決

自保ジャーナル1898号

今回は、被害者である8歳の少年について、後遺障害等級を5級相当と認定したうえ、介護費用について、入院中は日額6,300円、退院後から症状固定までは日額4,000円とし、症状固定後から余命までは日額3,000円の将来付添費を認めた裁判例をご紹介します。

被害者(小学3年生)は、自転車で走行中に乗用車に衝突され、びまん性軸索損傷、顔面骨折、呼吸不全等により84日間入院し、658日通院したのち、自賠責5級2号高次脳機能障害の後遺障害を残しました。

本件では、被害者の損害額が争点の一つとなりました。損害額のうち、今回は介護費に関する争いについてご紹介します。

原告は、介護費について、入院中の付添看護費約54万円、退院後から症状固定までの介護費約427万円、将来付添費約4,581万円を請求しました。

これに対して、被告は、事故から約4か月後に小学校に復帰していることから日常生活状況からして復学以降の介護は必要ないとして、症状固定後の将来付添費は必要ないという旨の主張をしました。

裁判所は、被害者の損害額のうち、介護費について、概ね次のように判断して、入院中の付添看護費約52万円、退院後から症状固定までの介護費約263万円、将来付添費約2,114万円を認めました。

  1. 被害者は、事故当時8歳であり、症状からすれば、少なくとも両親のうち1名の付添いが必要である。入院中の付添看護費は日額6,300円。
  2. 退院後から症状固定までの間、被害者の母親が通院に付添い看護していたことから、介護費を認めるのが相当であるが、被害者が小学校に復学していることを考慮すると、日額4,000円を介護費として認めるのが相当である。
  3. 症状固定後は、被害者は、重篤な高次脳機能障害を負っており、日常生活にも重大な障害があるから、今後一生にわたり、随時看視、声かけを要する。その付添費は、日額3,000円が相当であり、症状固定日における被害者の平均余命である69.52年の間、必要となる。

高次脳機能障害などの重度後遺障害者については、将来における付添費が損害として認められる場合があります。

事故時から症状固定までの期間に加えて、被害者の平均余命までの将来付添費も損害に含まれる場合には、付添費用が高額になります。

最終的な損害金額に大きく影響を与えるため、将来付添費が損害として認められる可能性がある事案については、裁判例を踏まえた適切な主張をする必要があります。

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