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交通事故の注目の裁判例

2016/01/19 更新

複数の事故と後遺障害

東京地裁 平成27年6月24日判決

自保ジャーナル1954号

今回紹介する裁判例は、追突された被害者である47歳男子が、首の痛み等で自賠責14級の後遺症が認定され(本件事故)、また、42日後に遭った別の交通事故(別件事故)でアキレス腱断裂の傷害を負い左のかかとの痛み等で自賠責14級の後遺症障害が認定されたという事案です。

別件事故では、被害者はすでに損害額合計535万6,793円の支払いを受けることで示談が成立しており、その状態で本件事故についての裁判が行われました。

加害者である被告は、逸失利益や後遺障害慰謝料等の算定については、本件事故と別件事故による後遺障害を合わせた労働能力喪失率や後遺障害慰謝料を観念したうえで、各事故の寄与度に応じた損害額を算定すべきであると主張しました。
また、別件事故で支払いを受けた金額の一部は本件事故分も含まれているので別件事故固有の損害に対する填補であることが明らかでないものについては、本件事故についての既払金とすべきであり、支払う必要がない等と主張しました。

これに対して、裁判所は、本件事故と別件事故とは、

  1. ①日時、
  2. ②受傷部位を異にする事故であるうえ、
  3. ③本件事故が別件事故発生の原因となっていたり、
  4. ④一方の事故が他方の事故による症状の憎悪化、治療期間の長期化または後遺障害の残存やその程度に影響を及ぼしていることを認めるに足りる的確な証拠はない

としました。

そして、本件事故の加害者である被告と別件事故の加害者である被告との間に共同不法行為が成立するとは認められず、本件事故における逸失利益や後遺障害慰謝料は別件事故とは別個に算定するのが相当であり、また、別件事故にて支払われた損害金は本件事故の損害額から控除しなくてよいという判断をしました。

つまり、被害者は、本件事故及び別件事故において、それぞれ別途、逸失利益や後遺症慰謝料を取得することができるという結論となりました。

このように、特に発生日時が近い事故の場合は、両事故が一緒にされてしまい、逸失利益や後遺症慰謝料も1つの後遺症分しか請求できないと加害者側から反論されることも多々あります。

しかし、あくまで、受傷部位や症状含めて別途のものであれば、今回の判例のようにそれぞれ別途に請求することができます。そして、別途に請求することができると、受け取ることができる金額も大幅に変わってくる可能性がでてきます。

このようなことから、各事故において、どの箇所を負傷したのか、現在の症状はどの事故から生じたものなのか、双方の事故が影響を及ぼしあっているのか等を具体的に検討していくことが大切です。

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