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交通事故の注目の裁判例

2016/09/27 更新

脊柱の変形と労働能力喪失率

名古屋地裁 平成28年3月18日判決

自保ジャーナル1974号

後遺症として脊柱の変形が残った場合、脊柱の変形が被害者の労働能力にどの程度の影響を与えているかという点が争点になることが多いです。

今回紹介する裁判例は、第7・第8胸椎破裂骨折後の脊柱の変形(8級)の後遺症を負った被害者(症状固定時20歳・大学生)に対し、20%の労働能力喪失率を認めたというものです。なお、被害者側は45%、加害者側は14%の労働能力喪失率を主張していました。 確かに、8級の後遺症が認定されている場合、形式的な労働能力喪失率は45%となります。

しかし、裁判所は、

  1. 将来の志望につき変更を余儀なくされたなどという事情もなく、後遺症による影響はまだ顕在化していないことや
  2. 労働能力に影響するのは胸椎周辺の疼痛であることから、45%もの労働能力喪失は認められない

と判断しました。

一方、体幹の中心を支える脊柱が恒久的に変形してしまったことにより、今後、加齢により新たに痛みが生じたり、変形が悪化する可能性があるとして、現に生じている症状(胸椎周辺の疼痛)を12級13号と評価し、将来の悪化を見込み、1等級加えた11級の後遺症に相当するとして、20%の労働能力喪失を認めました。

なお、労働能力喪失期間については、「将来症状が悪化する見込み」があるとして67歳までの47年間を認定しています。

本件は、被害者が若年で、現時点では学生であることから、今後の加齢による影響を考慮して労働能力喪失率を定めている点が特徴的です。

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