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交通事故の注目の裁判例

2016/10/25 更新

労働能力喪失率に関する裁判例

仙台地裁 平成27年12月17日判決

自保ジャーナル1970号

今回は、後遺障害等級併合14級の認定を受けた被害者について逸失利益の金額が争点の1つとなった裁判例をご紹介します。

被害者(30代 男性 整体師)は、乗用車で交差点を進行中に、左側一時停止道路から進行してきた加害車両に衝突され、頚椎捻挫、左手関節の損傷等の傷害を負いました。

その後、被害者は、約9か月通院し、頚部及び左手関節に神経症状を残したとして、それぞれの部位について自賠責の後遺障害等級14級9号に該当するとして併合14級が認定されました。

本件では、被害者側がTFCC損傷等の損傷を残していると主張し、逸失利益の労働能力喪失率、労働能力喪失期間が争いになりました。

後遺障害等級14級の場合には、労働能力喪失率は5%であるのが通常です。ところが、本件では、裁判所は、おおむね次のような判断をして、労働能力喪失率を14%としました。

  1. 被害者について左手関節のTFCC損傷が生じた可能性は否定できない。
  2. 原告の職業は整体師であるところ、被害者は、本件事故による左手首の後遺障害により、左手首を掌屈すること、下方に力を入れることが困難となり、患者に対する矯正施術に支障をきたしている。本件事故後、整体院としての売り上げが減少していることが認められる。
  3. 「原告の職種、就労内容、後遺障害の部位、内容、程度等にかんがみると、頚部の神経症状が残存していることに加え、左手関節の疼痛及び可動域制限が整体師である原告の労働能力に対する影響は小さいものであるとはいえず、原告の後遺障害による労働能力喪失率は14%とする」
  4. 「労働能力喪失期間は67歳までの30年間である」

労働能力喪失率は、「後遺障害別等級表・労働能力喪失率」という表に記載の喪失率をとることが多いです。たとえば、後遺障害等級14級であれば5%、12級であれば14%です。

ただし、本裁判例のように、同表の数字を参考に、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度、事故前後の稼働状況等を総合的に判断して喪失割合が決められることも少なくありませんので、よく検討することが重要です。

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