メニュー

交通事故の注目の裁判例

2016/12/27 更新

高次脳機能障害と企業損害

大阪地裁 平成28年1月29日判決

自保ジャーナル1975号

今回紹介する裁判例は、交通事故によって高次脳機能障害を負った72歳の会社代表者について、自賠責が認定した5級よりも低い9級の高次脳機能障害であると認定した裁判例です。

本件は上記に加え、被害者が休業中、会社が被害者に支払った役員報酬を損害と認めた点も特徴的です。

裁判所は高次脳機能障害について

  • 記憶力に問題があるが、1人で交通規範にしたがって、自動車の運転をし、高速道路の利用もできていること
  • 被害者の尋問によれば、他社との意思疎通にも問題がないと認められること

を認定し、高次脳機能障害は残存するものの「その程度が重大出るということはでき」ないと判断し、9級の高次脳機能障害と判断しました。

また、被害者が代表を務める会社について

  • 役員報酬が月額12万5,000円と多額でなく、全額が労務の対価であることを認めた上で
  • 被害者の休業期間も役員報酬が支払われていた

として、休業期間の役員報酬相当額を会社の損害として認めました。

【コメント】

自賠責において高次脳機能障害が認定されていても、裁判において、加害者側が高次脳機能障害の存在や等級を争ってくるという事例もあります。

被害者が障害と向き合い、懸命に努力しながら職場復帰したにもかかわらず、加害者側から「職場復帰」という事実だけを捉えて、高次脳機能障害の程度が低いなどと主張されることもあります。高次脳機能障害はいわば「目に見えない障害」ですから、裁判において自賠責で認定されている等級を十分に立証できるかという観点から訴訟提起するかを検討する必要があります。

被害者が会社役員の場合、役員報酬は支払われているが、本人は休業せざるを得なかったというケースもあります。その場合、被害者本人に休業損害はありませんが、会社に損害があるというかたちになります。

本件では、上記のようなケースに関して明確に判示したものとして参考になると思われます。

交通事故の注目の裁判例

ご相談から解決までの流れ