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交通事故の注目の裁判例

2017/03/17 更新

自賠責の後遺症認定と裁判

大阪地裁 平成28年10月3日判決

自保ジャーナル1985号

今回は、自賠責において5級の高次脳機能障害が認定されていたものの、裁判においては7級の高次脳機能障害であると認定(つまり、自賠責で認定された後遺症よりも軽いと判断された)された裁判例を紹介します。

本件は、加害者Aの運転するバイクが加害者Bの運転する自動車を避けようとして被害者運転の自転車に衝突したという事案です。

被害者は本件事故によって、脳挫傷及び急性硬膜外血腫の傷害を負い、救急搬送されました。その後の入院治療等を経て、自賠責保険の後遺障害認定手続において、「特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として5級2号の後遺障害が認定されていました。

しかし、裁判所は以下の理由から、自賠責保険の認定よりも軽い7級4号(軽易な労務以外の労務に服することができないもの)と認定しました。

  1. 記銘力(新しく体験したことを覚える能力)に若干の低下はあるものの日常生活に明らかな問題がないこと。
  2. 事故後職場に復帰し、8ヶ月は事務作業に従事したこと。
  3. 事故後結婚し、2人の子供をもうけ、育児や家事をおこなっていること。
  4. 相当期間(約7年)医療機関にかからず、生活がおくれていること。
  5. 第2子が幼稚園に入学後、配偶者からも仕事をしてよいと言われていること。
  6. 医師が持続力や持久力については半分程度喪失しているとしているものの、意思疎通能力や問題解決能力等については喪失の程度が少ないと判断していること。

「特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」(5級2号)と「軽易な労務以外の労務に服することができないもの」(7級4号)の差ですが、文言としては極めて抽象的です。

認定された後遺障害の等級が適正か否かについては、高次脳機能障害を多く扱っており、事案の集積がある弁護士に相談することが重要でしょう(本件は急性硬膜外血腫の傷害を負った事案であり、急性硬膜下血腫や外傷性くも膜下出血の事案に比べると、後遺症が軽度であることが多く、その点も影響を与えた可能性があります。)。

なお、本件は被害者が加害者を訴えた事案ではなく、加害者Aの任意保険会社と加害者Bとの間の求償金請求事件ですが、高次脳機能障害の認定事案として参考になるものと思われます。

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