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交通事故の注目の裁判例

2017/10/18 更新

自賠責の後遺障害認定が覆された事例

大阪地裁 平成27年10月21日判決

自保ジャーナル1963号

乗用自動車の後部座席に乗車していたところ、後方から直進してきた加害車両の前部に追突されたという事故です。

被害者は、頭部、後頸部痛等の症状について、自賠責保険の後遺障害等級認定手続で14級9号が認定されていました。被害者は、後遺障害等級は併合4級であるとしてこの訴えを提起しました。

この裁判で争点となった事項はいくつかありますが、ここでは、裁判所がこの被害者について後遺障害はない(14級9号でもない)と判断したことについてお書きします。

本件では、被害者はブログを作成していました。判決は、ブログでの被害者の書込みについて、次のことを指摘しました。

  • 被害者が歩行障害を訴え始めた後、自動車を運転して警察署に行ったとの書込みがあること
  • 後遺障害診断書には左肩関節の屈曲・伸展・外転とも、可動域が参考可動域の2分の1程度だったと記載されているにもかかわらず、症状固定後、テーマパークに行って杖を持つことなくきちんと立ち、左腕をまっすぐ上方に挙げた姿勢で撮影した写真が掲載されていること

そのうえで、判決は、被害者が主治医に訴えていた症状があったと信用することはできず、ブログの書込みも考慮すると、被害者に将来においても回復が困難と見込まれる障害が残存しているとは認められないから、被害者には後遺障害はないと判断しました。

このことについて、被害者は、ブログという誰もが見られるようになっている媒体においては、あまりネガティブなことは書けないから、事実と異なる書込みをしたのだと主張しました。しかし、判決は、被害者が事故に遭い、そのため被害者の体調が万全でないことを記載した書込みがあることを指摘して、この主張を退けました。

行動調査」「行動調査の違法性」でもお書きしましたが、任意保険会社が被害者の訴える症状などに疑問をもって被害者の行動調査をすることはあります。近年は、ブログやSNSの投稿をチェックしていることも多いです。あまりネガティブなことは書けないとはいえ、実際は症状が重いのに、症状が大したことはないと思わせるような書込みをあえてするのは、避けたほうが良いでしょう。

(文責:弁護士 佐藤 寿康

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