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交通事故の注目の裁判例

2017/10/25 更新

死亡慰謝料3,000万円と兄弟姉妹の固有慰謝料300万円が認められた事例

神戸地裁 平成29年1月27日判決

自保ジャーナル1996号

今回は、61歳の男性が事故によりお亡くなりになられた事案で、被害者の死亡慰謝料、及び被害者の兄弟姉妹固有の慰謝料について判断した裁判例をご紹介します。

被害者(61歳 男性 土木作業員)は、車両に衝突、下敷きにされ、死亡しました。加害者は、事故当時、過労状態のなか運転をしていて、時速70km程で走行中に仮眠状態に陥りました。加害車両は、工事作業中の貨物自動車に衝突し、同車を前方に押し出して、作業中であった被害者を下敷きにしてしまいました。

本件は、被害者と同居していた弟と、被害者とは別所帯の姉妹3名の相続人らが、被告に対して損害賠償請求した裁判です。

本件で争点となった事項はいくつかありますが、ここでは、死亡慰謝料と近親者固有の慰謝料に関する裁判所の判断についてご説明します。

裁判所は、①死亡慰謝料については、被害者は一家の支柱に準ずる者であること(同居の弟を扶養していた)、加害者の運転が極めて危険の運転行為であったこと、重大な事故状況であったこと、被害者に落ち度がないにも関わらず即死という重大な結果が発生したこと、加害者が刑事裁判において過労状態や居眠り運転を否定していたこと等の複数の事情を考慮したうえで、被害者の死亡慰謝料を増額して3,000万円が相当であると判断しました。

また、裁判所は、②兄弟姉妹の固有の慰謝料として、被害者と同居かつ被害者の扶養に入っていた弟の慰謝料として120万円、姉妹固有の慰謝料として各60万円(3名合計180万円)を認めました。

上記のとおり、本件では、死亡事故の慰謝料として合計3,300万円の請求を認めることになりました。

裁判では、事故によりお亡くなりになられた場合の精神的苦痛の慰謝料として、被害者の属性に応じて2,000万円~3,000万円程度認められることが多いです。耐え難い精神的苦痛を金銭的に評価することは極めて困難ではありますが、一応の目安としての相場があります。具体的には、被害者が①一家の支柱である場合は2,800万円程度、②母親、配偶者の場合は2,500万円程度、③その他の場合は2,000万円~2,500万円程度といわれています。

もっとも、今回の裁判例のように、事故態様の悪質性、加害者の不誠実な態度などの個別具体的な事情により、慰謝料は増減することになります。

なお、上記の基準は、被害者の父母、配偶者、子、及びそれらに準ずる者の慰謝料も含めた金額の総額になります。慰謝料を相続人の誰がどのくらい受領するかについては、裁判例のように、遺族間の事情によって配分することになります。

このように、精神的苦痛を金銭的に評価することは極めて困難であるため、慰謝料の金額は争いになることが多いのですが、重要な事実をしっかりと主張して適正な慰謝料金額を認めてもらう必要があります。

(文責:弁護士 今村 公治

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