メニュー

交通事故の注目の裁判例

2017/12/11 更新

脊髄損傷・高次脳機能障害とOPLL

札幌地裁 平成29年4月7日判決

自保ジャーナル2000号

今回は、交通事故により、脊髄損傷及び高次脳機能障害の後遺障害を残した被害者について、OPLLにより20%の素因減額がなされた裁判例を取り上げます。

本件では、62歳男性が、路外駐車場から乗用車で路上に進入した際、直進してきた相手方トラックと衝突し、その結果、高次脳機能障害(後遺障害等級9級10号)、脊髄損傷(後遺障害等級9級10号)の後遺症を負いました(後遺障害等級併合8級)。

同男性は、10年以上前から、後縦靭帯骨化症(OPLL)に罹患していたことから、どの程度の素因減額がなされるかが争点になりました。

これについて、裁判所は以下のような判断をしました。

まず、「OPLLに罹患している場合、脊髄を損傷する可能性が高いところ、特に、原告(注:上記男性のこと)は本件事故前から占拠率が50%に達するOPLLに罹患しており、相当程度脊髄損傷を生じさえやすい状態であったということができ、そのことが原告の脊髄損傷の発生に一定程度寄与したことは否定し難い」と述べました。

その上で、「本件においては、原告がOPLLに罹患していることが原告の脊髄損傷を原因とする損害に与えた影響は、4割とみるのが相当」として、「原告には後遺障害として脊髄損傷に加えて高次脳機能障害も認められ、かつ、各後遺障害の原告の生活等への影響の程度も考慮すると、原告に生じた本件事故による全損害について2割の素因減額を行うのが相当である」と判断しました。

【コメント】

後縦靱帯骨化症(OPLL)とは、椎体骨の後縁を上下に連結し、背骨の中を縦につながっている後縦靱帯が骨化してしまった結果、脊髄の通っている脊柱管が狭くなり、脊髄や脊髄から枝分かれしている神経根が圧迫され、それによって、運動神経や感覚神経に障害が発生する病気です。後縦靱帯骨化症は、国により、難病に認定されています。

交通事故においては、後縦靱帯骨化症(OPLL)がある方は、脊柱管の狭窄により、交通外傷において、脊髄損傷を来しやすい状態にあると言われます。もっとも、後縦靱帯骨化症(OPLL)の症状の程度や経過は多様であり、必ずしも骨化の大きさに比例しないとも言われています。

具体的な事案においては、骨化占拠率はどの程度か、事故前に具体的に症状が出ていたか、事故の前後で症状にどのような変化があったか等を、丁寧に主張していく必要があります。

(文責:弁護士 前田 徹

交通事故の注目の裁判例

ご相談から解決までの流れ