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交通事故の注目の裁判例

2017/12/27 更新

死亡事故における被害者の内縁の配偶者の損害賠償請求

東京地裁 平成27年5月19日判決

自保ジャーナル1947号

63歳の男性が自転車で車道を横断していたところ、トラックに衝突されたという事故です。

被害者は、外傷性びまん性軸索損傷等の傷害を負い、死亡しました。

被害者には法律上の(戸籍上の)妻とその妻との間の子がいましたが既に夫婦としての実態はなく、被害者には約29年にわたって同一生計で生活してきた内縁の妻がいました。

この裁判は、内縁の妻が損害賠償請求を行った事例です。争点となった事項はいくつかありますが、ここでは、損害の費目を、具体的には扶養請求権と固有の慰謝料についてお書きします。

被害者が損害として掲げた扶養請求権というのは、被害者が死亡しなかったら被害者から内縁の妻が受けることができたはずの扶養料です。裁判所は、被害者が1か月当たり約18万円程度の収入があったところ、結論としてそのうちの6万円が内縁の妻の生計の維持に充てるべき部分であると認定しました(平均余命を考慮して合計でおよそ555万円)。

さらに、内縁の妻固有の慰謝料としては、500万円を認定しました。

死亡事故における被害者に配偶者がいたものの戸籍の届出をしていなかったとき、その配偶者は死亡した被害者の損害賠償請求権を相続できませんから、逸失利益等を損害として挙げることはできません。

しかし、死亡した被害者によって生計を維持されていたという事実があれば、扶養料請求権侵害を理由とする損害賠償請求を行う余地があります。

この件では固有の慰謝料は高めの金額が認容されたように感じます。夫婦としての実態があった期間の長さに加え、法定相続人ではないこと(したがって戸籍の届出のある配偶者に比べて受けることのできる賠償額はどうしても低くなります。)が考慮されたのだと考えられます。

この件では被害者に法定相続人が存在していましたが、法定相続人が存在していなかったら、相続財産管理人を選任して損害賠償請求をしてもらい、その後、特別縁故者に対する財産分与の申立てを行う余地があるかもしれません。

いずれにせよ、戸籍の届出をしていないというだけで損害賠償請求ができないというわけではありません。

(文責:弁護士 佐藤 寿康

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