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交通事故の注目の裁判例

2018/01/30 更新

青信号点滅開始6秒後に走って横断した女子大学生の過失を2割と認めた事例

東京高裁 平成29年6月29日判決

自保ジャーナル2006号

今回は、被害者である女子大学生が信号交差点を青色点滅開始後に走って横断した際に、右折してきたタクシーに衝突された事案で、歩行者である女子大学生に20%の過失を認定した裁判例をご紹介します。

本件で争点となった事項は、爪床(爪の下面が接している皮膚の部分のことです。)形成(爪床形成とは、変形した爪を治すための手術のことです。)による将来の治療費について損害賠償をすることができるかなどいくつかありますが、ここでは、過失割合に関する裁判所の判断についてご説明します。

裁判所は、次のような事情を考慮して、「本件事故におけるX(女子大学生)の過失割合は20%と認める」と判断しました。

  1. 歩行者用信号機の青色点滅の信号は、歩行者は道路の横断を始めてはならず、道路を横断している歩行者は速やかにその横断を終わるか、または横断をやめて引き返さなければならないことを意味すること、
  2. X(女子大学生)は、歩行者用信号機の青色点滅が開始されてから6秒後に、片側4車線であるb通りを走って横断し始めているのであるから、X(女子大学生)にも本件事故発生について相応の過失があること、
  3. 他方Y(タクシー運転手)は、人通りの多い繁華街に位置する本件交差点を右折するに当たり、交差点の中心の直近の内側を徐行しなければならないとされているのに、第2車線を進行していたこと、④歩行者用信号機の青色点滅時にb通りを渡ろうとする歩行者が現れることを予見することができたのに、本件横断歩道の左方向を確認しないままY車(タクシー)を発信させて進行しており、Yの過失は著しいものであったことなどの事情を合わせ考慮して、裁判所は上記のとおり判断しました。

歩行者と自動車の交通事故の過失割合については、事故態様によって基本的な割合はありますが、具体的な事故状況によって基本割合を修正して決めることになります。

青色点滅信号は、黄信号と同一に扱うと道路交通法施行令で定められています(2条1項、4項)。今回の事案では、被害者である女子大学生が青信号点滅開始後に横断をし始めたと認定されていますが、これが青色信号で横断開始後赤信号になったと認定されたり、赤信号で横断をし始めたと認定された場合には、過失割合が異なってくる可能性があります。過失割合が5%異なるだけでも賠償金に大きな影響を及ぼすことがあります。

そのため、事故を起こしてしまった場合には、事故現場や自動車の位置の写真を撮っておいたり、目撃者の連絡先をきいておく、警察に事故状況をしっかりと説明しておくなどの対処を事故直後にとっておくことが重要です。

(文責:弁護士 大友 竜亮

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