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交通事故の注目の裁判例

2018/02/08 更新

40歳代男子会社員の非器質性精神障害につき、後遺障害12級を認定した事例

名古屋地裁 平成29年7月7日判決

自保ジャーナル2006号

今回は、40歳代の男性が交通事故に遭い、非器質性精神障害(抑うつ気分等)として後遺障害12級が認定された裁判例をご紹介します。

被害者である原告(40歳代男性)は、交差点内での事故(車×車)により、外傷性頚部症候群等の傷害を負い、約5年9か月間通院した後、自賠責保険において、併合14級の後遺障害認定を受けました。しかし、認定されるべき後遺障害は14級ではなく12級(併合11級)であると主張し、訴訟を提起しました。

裁判所は、非器質性精神障害につき、後遺障害12級に該当するかの判断基準は下記の通りであると判示した上、自賠責保険の14級の後遺障害認定を覆し、後遺障害12級に該当すると判断しました。

  1. 精神症状として、A抑うつ状態、B不安の状態、C意欲低下の状態、D慢性化した幻覚・妄想性の状態、E記憶又は知的能力の障害、Fその他の障害のいずれかに該当すること
  2. 能力に関して、①身辺日常生活、②仕事・生活に積極性・関心を持つこと、③通勤・勤務時間の順守、④普通に作業を持続すること、⑤他人との意思伝達、⑥対人関係・協調性、⑦身辺の安全保持、危機の回避、⑧困難・失敗への対応のうち、4つ以上について時に助言・援助が必要であること
    ※太字は筆者による。

裁判所は、自賠責保険の認定について、「自賠責保険は、「非器質性精神障害にかかる所見について」…を検討したうえで、原告の後遺障害(抑うつ気分、意欲低下、思考制止などの症状)について別表の14級9号に該当するとの判断をしている。しかし、その判断の具体的な理由は詳らかでは」ないと判示しています。 そのうえで、主治医の作成した書類(後遺障害診断書、回答書、「非器質性精神障害にかかる所見について」という書類)の記載を基に、後遺障害12級に該当すると判断しています。

自賠責保険での後遺障害認定より高い等級が裁判で認定されるケースは、それほど多くありません。本件は、非器質性精神障害という目に見えない障害であり、判断自体が極めて難しいという性質上、このような認定がなされたものと考えられます。

後遺障害の認定全般に言えることではありますが、特に非器質性精神障害においては、主治医の先生の協力が必要不可欠であることを再認識させられる裁判例でした。

なお、非器質性精神障害の場合、①そもそも後遺障害として認定されるかという問題もありますが、②事故との因果関係、③既往症(素因による減額)が争われることが多いという特徴があります。

(文責:弁護士 村岡 つばさ

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