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交通事故の注目の裁判例

2018/02/09 更新

自動二輪車で転倒の42歳の男子公務員に半月板損傷による12級13号、左膝痛等の併合12級を認定し、67歳まで10%の労働能力喪失を認めた事例

横浜地裁 平成29年1月30日判決

自保ジャーナル1996号

今回は、42歳の公務員の男性が交通事故に遭い、半月板損傷による神経症状などに関し、後遺障害等級併合12級が認められた裁判例をご照会します。

被害者である原告は、変速交差点を自動二輪車で直進中、前方歩行者を避けるため、右側によったところ、道路中央付近を走行する被告運転の対向乗用車に衝突され、左足関節内骨折、左膝内側半月板損傷等の傷害を負いました。その後、約7ヶ月の通院を経て、自賠責保険において併合12級の後遺障害認定を受けました。しかし、相手方保険会社から被害者の後遺障害等級は14級相当であるとして争われ、訴訟に発展しました。

  1. 後遺障害等級について
    被告は、半月板を損傷した初期の症状が原告にはみられないことや、本件事故が半月板を損傷しやすい事故態様ではなかったことから、原告の後遺障害等級は14級9号が相当であると主張しました。これに対して、裁判所は、「原告が本件事故で転倒し、左膝を受傷したこと、その後、左膝の疼痛や不安定性を訴えていること…の事情からすると、原告が、本件事故によって、左膝内側半月板損傷の傷害を負ったことが認められる。…原告の左膝の疼痛等の神経症状は、他覚的に証明されているということができ、後遺障害等級表12級13号の後遺障害に該当することが認められる。」と判断しました。本件では、被告の主張としては、そもそも原告は本件事故によって半月板を損傷しておらず、膝の痛みはそのような器質的損傷を伴わないのであるから、後遺障害等級は14級相当であると主張しており、本件事故と半月板損傷との因果関係を否定していました。

    しかし、裁判所は、事故後の原告の症状に関する訴えの経緯からすると、本件事故によって半月板を損傷したと判断しています。事故と傷害との因果関係が否定された場合には、裁判所において、事故後の経緯を詳細に述べ、その傷害が事故によって生じたものであることが自然であること立証することが必要になってきます。

    また、事故後に痛みが残存してしまった場合の後遺障害に関しては、他覚的所見(骨折や靭帯損傷等画像で判断できるもの)の有無によって、12級が認められるか14級が認められるかが異なってきます。

  2. 後遺障害逸失利益について
    本件では、後遺障害等級と合わせて労働能力の喪失率と期間も争いになっており、被告は、原告の後遺障害等級が14級9号相当であることを前提に、「後遺障害の程度は比較的軽微であり、有意な収入の減収もないので、…労働能力を喪失したとしても、5%を5年喪失した程度である」と主張しました。これに対して裁判所は、「原告が公務員であることをも考慮すれば、大幅な減収の可能性は…否定される」としたものの、「症状固定日から就労可能年数である67歳までの25年間にわたって10%の労働能力を喪失した」と判断した。訴訟において後遺障害逸失利益が争いになった場合、労働能力の喪失期間を就労可能年数よりも短く主張してくることがあります。

    実務上、むち打ち症などの場合は、14級であれば5年、12級であれば10年に労働能力喪失期間が限定されることがありますが、本件のような半月板損傷の事案であれば、裁判所が認定したとおり、就労可能年数を逸失利益に関する労働能力の喪失期間とすることが妥当であるといえます。

(文責:弁護士 加藤 貴紀

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