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交通事故の注目の裁判例

2018/02/23 更新

深夜の高速道路で後方不確認のまま車線変更・急減速のY車に対し、追突の大型貨物車に2割の過失を認めた事例

東京地裁平成28年10月11日判決

自保ジャーナル1989号

今回は、深夜、高速道路の第2車線を走行中のタクシーが、第1車線に車線変更・急減速したところに、後方を走行中の大型貨物車が追突した場合の過失割合についてご説明いたします。

通常、本件のような進路変更車と後続直進車との追突事故の場合だと、進路変更車の過失割合が7割、後続直進車の過失割合が3割となります。

もっとも、後続直進車や進路変更車に著しい過失があれば、その程度に応じて、過失割合が1割~2割程度修正されます(重過失があれば、2割程度過失割合が修正されます)。

たとえば、進路変更車に著しい過失があれば、本来7:3の過失割合のところが、過失の程度に応じて、進路変更車の過失割合は8~9割、後続直進車の過失割合は1~2割になりえます。

どのような場合に過失が認められるのか、また、双方の車両に過失がある場合にどのように判断されるのかについては、過去の裁判例が大いに参考になります。本裁判例は、そのような裁判例の一つといえます。

本裁判例では、裁判所の事実認定として、以下の事実が認定されました。

  • 進路変更車は、本件事故現場に差し掛かる前、片側3車線のうち第2車線を時速約80キロメートルで走行していた。
  • 進路変更車は、一旦第1車線に移動して、タクシーを停められる左側の路肩の広いところを探そうと考え、第1車線上の走行車を確認したところ、後方に後続直進車が走行していた。
  • 進路変更車は、第1車線に車線変更した後、ブレーキを踏んで時速約30キロメートルまで減速した。
  • 後続直進車は、進路変更車が車線変更後に急に減速したことから、急ブレーキをかけ、時速約50キロメートルまで速度を落としたが間に合わず、追突した。
  • 本件事故現場付近の道路の制限速度は時速80キロメートル、法定最低速度は時速50キロメートルであった。

この事実関係を前提に、裁判所は以下のような判断を行いました。

  • 進路変更車には、同一車線上の後方を走行する車両の有無及び安全を確認し、後続車の速度や方向を急に変更させることのないよう適切な車間距離や速度で進行すべき注意義務があるのにこれを怠り、法定最低速度を下回る速度まで急減速して走行したのであるから重大な過失がある。
  • 他方、後続直進車にも、前方注視義務を怠った過失がある。
  • 双方の過失の内容及び程度等を考慮すれば、進路変更車と後続直進車の過失割合は8対2と認めるのが相当である。

本裁判例では、急減速をした進路変更車に重過失を認め、後続直進車に前方注視義務違反の過失を認めて、その過失の調整の結果として、進路変更車と後続直進車の過失割合は8対2と調整を行った点で、注目に値する裁判例といえます。

(文責:弁護士 辻 悠祐

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