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交通事故の注目の裁判例

2018/02/28 更新

追突された男子の頸椎捻挫等の神経症状は自賠責非該当も将来回復困難として14級9号後遺障害を認めた事例

さいたま地裁平成29年8月9日判決

自保ジャーナル2007号

今回は、自賠責保険の後遺障害認定においては非該当とされた頸椎捻挫等の神経症状が、症状の裏付けとなる客観的な医学的所見には乏しいが、将来においても回復が困難と見込まれる障害と認められるとして、別表第二14級9号の後遺障害を認定した裁判例についてご説明いたします。

被害者は、平成27年3月、乗用車を運転して信号待ち停止中に、普通貨物車に追突され、頸椎捻挫の傷害を負いました。

その後、被害者は、9か月通院し、左肩・上肢のしびれ等の神経症状について、自賠責保険後遺障害申請をするも非該当と認定されました。そこで、被害者は、左肩・上肢のしびれ等から14級9号後遺障害を残したとして、訴えを提起しました。

本件では、被害者の左肩・上肢のしびれ等の神経症状が別表第二14級9号の後遺障害に該当するかが争点となりました。

原告は、本件事故により、頸椎捻挫の傷害を負い、しびれ、握力の低下、左頸部、左上肢の痛みが残存しており、14級9号に該当する後遺障害を負ったと主張しました。

被告は、原告が自賠責保険において、「本件事故による骨折等の器質的損傷は認められず、その他診断書等からも自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見も乏しいことに加え、その他症状経過、治療状況等も勘案した結果、将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉え難い」として後遺障害に該当しないとの判断を受けていること、この判断を覆すような自覚症状を裏付ける証拠は提出されていないことからすれば、本件事故により原告に後遺障害が残存しているとは認められないと主張しました。

裁判所は以下のとおり、判断して、頸椎捻挫等の神経症状は自賠責では非該当であるが将来においても回復が困難と見込まれる障害と認められるとして14級9号後遺障害を認めました。

原告は、事故後一時帰宅したものの、気分不快、頸部痛・頭部痛等の痛みを自覚して事故翌日の平成27年3月21日にB病院の救急外来を受診し、頸椎捻挫の診断を受け、その後も同様の症状で継続的に通院し、その間、同月中には左肩・上肢の痺れを訴えていたものと認められるから、本件事故受傷に伴う治療の継続性がうかがわれる。

この点、前掲証拠によれば、画像上、本件事故による骨折等の器質的損傷は認められないなど、症状の裏付けとなる客観的な医学的所見には乏しいことが認められるから、他覚的に神経系統の障害が証明されるものとはいえないが、上記治療状況、症状の推移なども勘案すれば、将来においても回復が困難と見込まれる障害と認められることから、「局部に神経症状を残すもの」として別表第二14級9号に該当する後遺障害に当たるものと認められる。

別表第二14級9号の後遺障害として認定されるためには、「障害の存在が医学的に説明可能なもの」であることが必要となります。

本判決は、治療の状況や症状の推移を勘案すれば、将来において回復が困難と見込まれる障害と認められると判断しており、裁判所が、治療の状況や、症状の推移などを14級9号の後遺障害と認定する考慮要素としたこと、治療の継続性がうかがわれることを重要視したこと、自賠責での後遺障害としては非該当であるという判断を覆したこと、という3つの点から、今回参考となる事例として紹介させていただきました。

(文責:弁護士 松本達也

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