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交通事故の注目の裁判例

2018/05/21 更新

18歳女子短大生の死亡逸失利益をセンサス男女総平均を基礎収入に生活費45%控除で認定した事例

大阪地裁 平成27年1月13日判決

自保ジャーナル1945号

今回は、18歳の女子短大生(被害女性)が自動車に乗車して交差点を直進中に、加害者運転の車両が赤点滅信号を一時停止せずに進入してきて衝突し、被害女性が死亡した事例を紹介します。この事例では、死亡による逸失利益の計算として、賃金センサス男女総平均を基礎収入に生活費45%控除で認定した点が注目されます。

この裁判例では、以下のような判断をしています。
①被害者が死亡当時18歳の女子であり、現在の社会情勢や、被害者が将来に向けて非常に大きな可能性を有していたことを勘案し、短大卒業後の基礎収入としては平成24年賃金センサス・男女計・全年齢・全学歴計平均賃金である472万6、500円を採用するのが相当である。

②生活費控除率は、一般的に女子の生活費控除について30%ないし40%という数字が採用される趣旨は、基礎収入として低額な女子平均賃金を採用することとの関係で、最終的な結論の妥当性を確保することにあり、基礎収入がより高額になる場合には、その趣旨は当てはまらない。実際問題としても、女子平均賃金よりも高額な基礎収入を設定する場合に、被害者が女子であるからといって一律に上記割合を採用すると、男子平均賃金を基礎として、一般的な50%の生活費控障率を設定した場合の逸失利益額を遥かに超える金額が算出されることとなり、その不均衡を合理的に説明することは到底困難である。このような事情を考慮し、短大卒業畿の生活費控除率については、45%を相当とする。

まず、逸失利益の計算方法としては、「基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」により逸失利益の額を算定します。基礎収入額について、学生の場合は、賃金センサス男女別全年齢平均の賃金額を基礎とし、生活費控除率は女性の場合は30%を控除するのが原則です(ちなみに男性の場合の生活費控除率は50%が原則です)。

ただし、女子年少者の逸失利益については、賃金センサス男女別全年齢平均の賃金額を基礎収入とする場合には、その生活費控除率を40~50%とするケースが多いです。

本裁判例も、女子年少者の逸失利益を、賃金センサス男女別全年齢平均の賃金額を基礎収入として、その生活費控除率を45%とした点で、原則的な女性の生活費控除率よりも多く控除した裁判例の一つと言えます。そして、本件のような事例でなぜ生活費控除率を上げるのかの理由を説明した点でも注目されます。

(文責:弁護士 辻 悠祐

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