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交通事故の注目の裁判例

2018/09/19 更新

20歳男子会社員が歩行中に、後退乗用車に衝突され新たに右膝後十字靭帯損傷が生じたとして12級7号を認定し、事故前の損傷歴等から4割の素因減額を適用した事例

神戸地裁明石支部 平成29年12月22日判決

自保ジャーナル2017号

今回は、事故前から右膝後十字靭帯の損傷歴を有していた20歳の男子会社員が今回の交通事故で新たに右膝後十字靭帯損傷が生じたとして12級7号が認定された裁判例を取り上げます。

本件では、平成26年1月17日に、男子会社員が店舗駐車場内を歩行中に、後退してきた加害者の乗用車に衝突されました。

男子会社員については、遅くとも平成24年3月6日時点のMRI所見で右膝後十字靭帯損傷が認められ、同月10日時点で脛骨後方の落ち込み兆候も認められていたこと、その後十分な保存的治療を受けておらず十分損傷が修復していたかどうか不明であること、本件事故で転倒して右膝をアスファルトに打ちつけているものの血腫等の外傷を示唆する新鮮な所見は乏しくMRI所見等も以前の所見との間に明らかな相違があるとは認められないこと、男子会社員も2年前のような症状が再発したと説明していること等から、今回の症状が本件事故で全面的に新たに生じた症状であるとはいえないとしました。

しかし、一方で、裁判所は、平成24年当時の右膝の症状は、保存的治療を継続しなくても短期間で軽快しその後日常生活動作への支障やキックボクシング等での再発も認められていなかったこと、本件事故後の右膝の痛みや不安定感は長期間持続し日常生活動作に硬性装具装着が必要な程度の症状が現存しており本件事故後の症状の方がより重いと認められ、これを既存の後十字靭帯損傷による症状であると完全に説明することは困難なこと等から、本件事故後の症状は、既存の損傷と本件事故による新たな損傷とが相まって生じていると推認されるとして、本件事故との因果関係を認定し、12級7号を認定しました。

このように事故前から同じ部位で同じ傷病をもっていた場合でも、それが今回の事故で悪化したといえる場合には、素因減額はされる可能性はあるものの、今回の事故との因果関係が認められる可能性は十分あります。

その際には、事故前の状況と、事故後の状況を、証拠資料に基づきながら具体的に比較して主張していくことが重要です。

(文責:弁護士 小林 義和

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