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交通事故の注目の裁判例

2018/10/19 更新

外貌醜状(9級)、脊柱変形(11級)等により併合8級の後遺障害認定を受けた59歳の男性会社員の後遺障害逸失利益につき、12年間20%の労働能力喪失を認めた事例

仙台地裁 平成30年2月23日判決

自保ジャーナル2023号

今回は、外貌醜状により後遺障害9級、脊柱変形により後遺障害11級(併せて併合8級)の認定を受けた59歳の男性会社員の後遺障害逸失利益につき、12年間20%の労働能力喪失を認めた事例裁判例をご紹介します。

被害者である原告(59歳の男性)は、自転車で歩道(自転車走行可能)を走行中、右方の駐車場から車道に進入しようとした被告車両(乗用車)に衝突され、頸椎脱臼骨折、頭部挫傷等の傷害を負いました。その後、22日間の入院、163日の通院を余儀なくされ、最終的には、①外貌醜状により9級、②脊柱の変形により11級、③(おそらく)頸椎捻挫による両示指しびれにより14級の後遺障害認定を受けました。自賠責保険のルール上、13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合には、最も重い等級を1級高くした等級とする(=併合)、というルールがあるため、併合8級(9級→8級にランクアップ)の後遺障害となりました。

本件で一番の争点となったのは、外貌醜状、脊柱の変形を起因とする、労働能力喪失の有無でした。原告は、併合8級の後遺障害が残存したことにより、将来12年間にわたり、45%の労働能力の喪失が生じていると主張しました。他方、被告は、①本件事故後に原告の年収が減少していないこと(争いなし)、②外貌醜状、脊柱の変形により、具体的に就労上の支障が生じているわけではないことから、労働能力喪失は認められない(0%)と主張しました。なお、原告の職業は、保険代理店及び事故の査定の仕事でした。

今回問題になった、外貌醜状(顔面の傷等)や、脊柱の変形(圧迫骨折、破裂骨折といった診断名が多いです)を原因とする後遺障害においては、労働能力喪失率を巡り、被害者・加害者(保険会社)と争いになることが非常に多いです。今回のように、労働能力の喪失は全く生じない(0%)として、逸失利益を完全に否定されることもあります。  

本件において裁判所は、「本件事故後の減収はないものの、原告が保険代理店及び事故査定を業としていることから、脊柱変形の症状、神経症状について、労働能力に与える影響は否めず外貌の傷痕等についても接客業務等に負担を生ずることを否定できないから、現時点において減収は生じていないことについて原告の努力による部分も大きいと認められるほか、将来的にも不利益を被るおそれは否定できない」という旨述べ、将来12年にわたり、20%の労働能力の喪失を認定しました。

(文責:弁護士 村岡 つばさ

 

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