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交通事故の注目の裁判例

2018/11/19 更新

車線変更してきた被告乗用車と原告乗用車の接触は方向指示器を出さずに車線変更をしようとしていた被告車の注視を怠った原告車に5%の過失を認めた事例

名古屋地裁 平成30年4月17日判決

自保ジャーナル 2025号

今回は、方向指示器を出さずに車線変更をしようとしてきた被告乗用車の注視を怠ったとして原告車に5%の過失を認めた事案をご紹介します。

40歳男子ドライバーの原告は、平成26年9月30日午後4時55分頃、名古屋市内の片側3車線道路の第2車線で乗用車を運転して進行中、渋滞していた第3車線から被告運転の乗用車が方向指示器を出さずに車線変更してきてドアミラーに接触され、頚椎捻挫、腰椎捻挫、胸郭出口症候群等の傷害を負い、169日実通院し、頸部痛、腰部痛及び左手小指の痺れ等を発症したとして既払い金136万1710円を控除し462万1609万円を求めて訴えを提起しました。  

本件訴訟では、原告と被告の過失割合が争点となりました。

別冊判例タイムズ38の割合では、進路変更車と後続直進車との事故の場合,進路変更車70対後続直進車30となります。そこから,進路変更の合図がなかった場合は,進路変更車90対後続直進車10に修正されます。

これに対して裁判所は「被告車両は車線変更のためにその前部を左に傾けていたのであるから、原告には、車線変更をしようとする被告車両の動静の注視を怠った落ち度がある。もっとも、本件事故の主たる原因は、車線変更時の安全確認を怠った被告の過失にある。被告車両は第3車線の渋滞の中で停止しており、原告において被告車両の急な車線変更に対処するのは容易ではなかったと認められることにも照らすと、原告の落ち度は小さく、過失割合は、原告5%、被告95%とする」と判示しました。

裁判所は、原告が被告車両を発見した時の状況、被告車両が事故直前に停止していたこと,被告車両に進路変更の合図がなかったこと等を考慮して、過失割合を原告5%、被告95%に修正しました。実際に事故を回避する可能性がどの程度あったのかを具体的に判断しています。

本件裁判例は,車線変更の際の過失割合を考える点で参考になると思い,今回注目の裁判例としてご紹介させていただきました。

(文責:弁護士 松本達也

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