メニュー

交通事故の注目の裁判例

2018/11/26 更新

胸郭出口症候群の発症を否定した事例

横浜地裁川崎支部 平成30年3月29日判決

自保ジャーナル2025号

今回とりあげるのは「胸郭出口症候群」の発症が問題になった事例です。 胸郭出口症候群とは、腕神経叢・鎖骨下静脈の神経障害や血流障害により、上肢痛や上腕の痺れ当の症状を発生させる疾患です。

交通事故の受傷後、「胸郭出口症候群」との診断名がつけられるというケースがありますが、なかなか事故と因果関係のある後遺症として認められないことが多いです。

今回紹介する裁判例も事故と胸郭出口症候群との因果関係を否定しました。
具体的には

  1. ①事故直後に搬送された病院で「両上肢の挙上不能」を訴えていないこと
  2. ②その後の通院した病院の資料でも「両上肢の挙上不能」を訴えた記載がないこと
  3. ③主治医が「胸郭出口症候群」を疑い始めたのが事故発生から1ヶ月経過後であること

を理由に「胸郭出口症候群を発症していたとしても、本件事故後の原告の就労その他の行動により発症した疑いが強」いと認定しています。

裁判所は胸郭出口症候群に限らず、事故直後にあらわれていない自覚症状について否定的な判断をすることが極めて多いです。 事故直後に搬送された病院で具体的な症状を告げることができなかった場合でも、通院先の主治医にきちんと自覚症状を伝え、症状を記録化することが極めて重要です。

(文責:弁護士 川﨑 翔

交通事故の注目の裁判例

ご相談から解決までの流れ