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交通事故の注目の裁判例

2019/03/29 更新

3級高次脳機能障害を残す4歳児の後遺障害逸失利益及び将来介護費用を定期金賠償で認定した事例

札幌高等裁判所 平成30年6月29日判決

1 はじめに

今回は、3級高次脳機能障害を残す4歳児の後遺障害逸失利益及び将来介護費用を定期金賠償で認定した事例をご紹介したいと思います。

2 事案の概要

本件は、被害者が市道を歩いて横断している途中に、加害者が運転する大型貨物車に衝突され、脳挫傷、びまん性軸索損傷等から自賠責3級3号認定の高次脳機能障害が残った事案です。

3 本件では、被害者側が、将来介護費用だけでなく、後遺症が逸失利益についても定期金賠償(判決後に一括で支払ってもらうのではなく、損害を分割して月々または毎年等一定期間ごとに支払ってもらう方法)を求めました。これに対して、裁判所は以下のとおり判断して後遺障害逸失利益についても定期金賠償による支払いを認めました。

「将来介護費用については、定期金賠償の方法が問題なく認められるところ、将来介護費用と後遺障害逸失利益とを比較した場合、両者は、事故発生時にその損害が一定の内容のものとして発生しているという点に加えて、請求権の具体化が将来の時間的経過に依存している関係にあるような損害であるという点においても共通している。後遺障害逸失利益の上記の性質を考慮すると、後遺障害逸失利益についても定期金賠償の対象になりうるものと解され、定期金賠償を命じた確定判決の変更を求める訴えについて規定する民訴法117条も、その立法趣旨及び立法経過などに照らして、後遺障害逸失利益について定期金賠償が命じられる可能性があることを当然の前提としているものと解すべきである。…本件におけるX(被害者)の後遺障害逸失利益については、将来の事情変更の可能性が比較的高いものと考えられること、被害者側であるXらにおいて定期金賠償によることを強く求めており、これは後遺障害や賃金水準の変化への対応可能性と行った定期金賠償の特質を踏まえた正当な理由によるものであると理解することができること、将来介護費用についても長期にわたる定期金賠償が認められており、本件において後遺障害逸失利益について定期金賠償を認めてもY(加害者側)の損害賠償債務の支払い管理等において特に過重な負担にはならないと考えられることなどの事情を総合考慮すれば、本件においては、後遺障害逸失利益について定期金賠償を認める合理性があり、これを認めるのが相当である。」

4 交通事故等が原因で高次脳機能障害が残ってしまい、将来介護費用や逸失利益が損害として認められるようなケースでは、一般的には将来介護費用についてのみ定期金請求を認める(求める)ことが多いかと思います。

損害が一括払いとなった場合は、将来発生する支出分を現時点で受け取ることになるので、中間利息が控除されて実際に要する費用よりも少ない金額しか受け取れないということが起こりえます。

実際に一括払いと定期金賠償のどちらを求めるべきかは具体的事案によって検討を要しますので、是非一度弁護士にご相談いただくことをお薦め致します。

(文責:弁護士 加藤 貴紀

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