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交通事故の注目の裁判例

2019/05/07 更新

母介護の50歳男子の自賠責12級顔面瘢痕による労働能力喪失を否認し、同14級頚部痛等からセンサス女子平均を基礎収入に5年間5%の労働能力喪失で後遺障害逸失利益を認めた事案

名古屋地裁 平成30年7月30日判決

自保ジャーナル2032号

今回は、顔面瘢痕を理由に後遺障害12級と認定された事案につき、顔面瘢痕の逸失利益を認めず、頚部痛等のみにつき逸失利益を肯定した事案をご紹介します。

被害者である原告(事故当時50歳の男性)は、自転車を走行中、対向車線より右折してきた被告車両に衝突され、後頭部挫創(左顔面)、頚椎症性神経根症等の傷害を負いました。その後、120日間の通院の末、左顔面瘢痕につき12級14号、頚部痛・両手しびれ等の症状につき14級9号の後遺障害が、自賠責により認定されました。

本件に関しては、過失割合等の争いもありましたが、原告の労働能力喪失率をどのように考えるかが大きな争点となりました。原告は、後遺障害12級の労働能力喪失率として14%を主張し、他方被告は、頚部痛等を原因とする後遺障害14級についてのみ労働能力喪失を認めるべきとして、5%の労働能力喪失率を主張しました。
裁判所は、頚部痛等の症状(14級)については労働能力に影響を与えるものとして逸失利益を肯定し、その労働能力喪失率を5%と認定しましたが、顔面の瘢痕(12級)については、労働能力に影響を与えるものではないとして、逸失利益を否定しました。なお、本件事故当時、原告は無職でしたが、実の母親を介護していたという事情に鑑み、家事従事者としての逸失利益を肯定しています。

本件のように、顔面の瘢痕等を理由に後遺障害の認定がなされた場合、逸失利益をめぐり、当事者間で大きな争いとなることが多くあります。逸失利益とは、非常にざっくり言うと「後遺障害が残存する以上、将来の労働(年収等)に影響が生じるであろうことから、その分を保障する」という性質のものです。しかし、顔面の瘢痕等は、それが残ってしまったからといって直ちに労働自体(年収等)に影響が生じるものではないため、①傷の部位・程度、②職業の内容(接客業、俳優業であるか等)、③年齢・転職可能性、④減収の有無等、諸般の事情を考慮の上、逸失利益の有無が判断されます。
他の裁判例においても、逸失利益を認定するものもあれば、逸失利益としては認定しないが、慰謝料の増額事由として考慮するものもあります。他方、本件のように、逸失利益も慰謝料増額事由も否定するものもあり、個々の事案により判断が異なります。

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