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交通事故の注目の裁判例

2019/05/29 更新

TFCC損傷について後遺障害12級13号を認定し、10年間14%、5年間5%の労働能力喪失率で逸失利益を認めた事例

名古屋地裁 平成30年9月28日判決

自保ジャーナル2035号

今回は、裁判でTFCC損傷について後遺障害12級13号が認定され(自賠責と同様)、10年間14%、5年間5%の労働能力喪失率で逸失利益を認めた事例をご紹介します。

本件事故は、46歳の被害者男性(原告)が、自転車に乗って道路を直進進行中、後方から追い抜こうとした原動機付き自転車に衝突され、転倒負傷したという事故です。

被害者は、左手TFCC損傷と診断され、治療を約半年間続けた結果、左手首の疼痛の症状が残りました。後遺障害について、MRI上の所見等から、自賠責(損害保険料率算出機構)では、12級13号(「局部に頑固な神経症状を残すもの」)と判断され、裁判所も同様の判断をしました。

そのうえで、本件裁判では、被害者の損害について、逸失利益の算出方法が問題になりました。

被害者は、症状固定時から67歳までの21年間14%の労働能力が喪失したと主張し、基礎収入は賃金センサス男子学歴系45~49歳平均賃金である669万6400万円として算出するべきであるとし、逸失利益として約1200万円を請求しました。

これに対して、被告は全く後遺障害逸失利益が発生していないか、発生しているとしても少額にとどまる等と主張しました。

これに対して、裁判所は概ね次のように判断して、結論として、逸失利益の金額として約656万円を認めました。

①傷害後の急性期においても、原告の傷害が仕事に与える影響は比較的小さなものにとどまっており、後遺障害が仕事に与える影響が長期残存するのか否かも疑問が残るところである。
②本件事故による将来の収入への影響を、永続的なものとして評価することは相当ではなく、原告の労働能力喪失期間及び喪失率を、10年間については14%、その後の5年間について5%とする限度で認めるのが相当である。

<コメント>
本件のように、逸失利益の金額は計算方法によって大きな差が生まれやすいため、後遺障害が認定された事案では争いになりやすいポイントです。本件では、症状固定後は当然として、事故直後の休業、就労状況が考慮されていることが一つの特徴です。被害者側としては、逸失利益を主張する際、症状が仕事に与える影響について、事故直後から症状固定後、現在まで一貫した説明を意識して主張しなければなりません。

また、12級13号の後遺障害については、労働能力喪失期間を10年程度に限定すべきという議論もありますが、本件では、同基準よりは被害者に有利な労働力喪失期間が認められているものと評価できます。

逸失利益の評価は、同じ後遺障害の等級でも、後遺障害の内容や、実際の仕事に与える影響、収入の変化等の具体的諸事情に応じてかなり幅のある認定がされ得る費目です。これらの点に留意して適切に主張立証を尽くすことが重要です。

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