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交通事故の注目の裁判例

2019/07/03 更新

交差点での出合頭衝突で停止線7メートル手前での停止は「一時停止後進入」の事故類型と認めることはできないと原告車に8割の過失を適用した事例

さいたま地裁 平成30年10月24日

自保ジャーナル2038号

今回は、信号のない交差点で原告の夫が運転する普通乗用車に同乗して、一時停止道路を進行していたところ、左方路から進入してきた被告運転の普通乗用車に出合頭衝突され、受傷をした事案について、原告側の過失割合を8割、被告2割と判断した裁判例をご紹介します。

この事案では、過失割合が争点になりました。原告は、被告が、進行・対向車両の有無及びその安全を確認して走行すべき自動車運転上の注意義務を怠ったことによって発生した事故であることから、原告の過失割合は0であると主張しました。被告は、原告車両が一時停止線で停止することなく交差点に進入したこと、原告側に著しい過失があったことから、被告の過失割合は0であると主張しました。

それに対して、裁判所は、原告車両が一時停止を行った位置が一時停止線よりも少なくとも7メートル程度手前であったと認定したうえで、「原告車両進行方向からの左方の見通しも、被告車両進行方向からの右方の見通しも不良であって、一時停止線より少なくとも7メートル程度手前で停止しても、衝突事故の防止する意味はないから、原告車両の一時停止線を一時停止標識に従った一時停止と評価することはできない。したがって、本件事故を「一時停止後進入」の事故類型と認めることはできない。」また、原告車両が「徐行(車両が直ちに停止することができるような速度で進行すること)していたと認めることはできない。」と判断して、原告車両対被告車両の過失割合を80対20と認定しました。

別冊判例タイムズでは、信号のない交差点で、本件事故のように一方に一時停止の規制がある場合、基本の過失割合は、双方車両が同程度の速度であれば一時停止規制がある側の過失が80で、規制がない側の過失が20になります。規制がない側の車両が減速して、一時停止規制がある側の車両が減速しなかった場合は、一時停止規制がある側の過失が90で、規制がない側の過失が10になります。

本裁判例では、交差点での出合頭衝突で停止線7メートル手前での停止は「一時停止後進入」の事故類型と認めることはできないと判断して、原告車に8割の過失を適用した点が注目すべき点といえます。

(文責:弁護士 辻 悠祐

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