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交通事故の注目の裁判例

2019/07/09 更新

自賠責において非該当とされたが、左膝の神経症状の職務への影響を考慮し、14級9号の後遺障害を認定した事例

京都地裁 平成30年11月12日判決

自保ジャーナル2039号

今回は、自賠責においては後遺障害に該当しないと判断されたものの、訴訟において、左膝の神経症状につき職務への影響を考慮して、14級9号の後遺障害を認定した事例をご紹介します。

被害者である原告(事故当時22歳の男子消防士)は、自動二輪車で交差点を直進中、先行乗用車である被告が左折したため、急制動したが衝突し、左腿部挫創等の傷害を負いました。その後、約6ヵ月間継続通院を行いましたが、最終的に、左膝創部の圧痛、自発痛、左膝蓋腱のつっぱり等の症状が残存しました。

上記症状を原因とし、原告は後遺障害の申請を行いましたが、非該当の結果でした。これに対し異議申立ても行いましたが、結果は変わりませんでした。そこで、原告は、上記症状につき後遺障害14級9号が認められるべきとして、訴訟を提起しました(過失割合等の争点もありました)。

上記事案につき、裁判所は、下記の理由を挙げ、原告に残存した症状が14級9号の後遺障害に該当すると認定しています。

  • 原告が消防士として火災、救助・救急等の出動をしていることに照らすと、通常人の勤務と比較して肉体上の影響があることが職務に影響を及ぼしやすいといい得ること(職務上の支障)。
  • 原告の述べる痛みについては、整形外科において診断されているとおり、創傷によるものとして医学的に説明可能なものといい得ること(症状が医学的に説明できること)。

 
自賠責保険の後遺障害の認定結果は、裁判所の判断を拘束するものではありません。

本件のように、自賠責保険においては後遺障害非該当とされたものの、裁判上において後遺障害が認定される事案や、自賠責保険よりも高い(あるいは低い)等級になる事案は、割合的には多くないですが、一定程度あります。

例えば、平成8年度の「赤い本」下巻には、「14級10号(※筆者注:現在の14級9号)第三者の医学的鑑定的意見が不可欠というものではなく、診断書、カルテ、本人尋問、担当医師の意見書、証言等を参考に、総合的に判断し、症状が残存していると認められるかを判断していると言えます」と記載されており、参考になります。

また、本件は、症状が医学的に説明できるか、という点だけでなく、職務上の支障についても、後遺障害の認定の部分で考慮している点が特徴的です。これまで、職務上の支障は、後遺障害の認定そのものというよりは、認定後の逸失利益の問題として考慮されていたように思われます(私見)。

(文責:弁護士 村岡 つばさ

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