メニュー

交通事故の注目の裁判例

2019/10/02 更新

約13年前の事故で頸椎捻挫等を理由に後遺障害14級の認定を受けていた男性につき、本件事故における頸部痛の症状につき後遺障害14級(自賠責非該当)を認めた裁判例

札幌地裁 平成30年1月11日判決

自保ジャーナル2045号

今回は、自賠責においては後遺障害に該当しないと判断されたものの、訴訟において、頸部痛等の症状につき14級9号の後遺障害を認定した裁判例をご紹介します。

被害者である原告(症状固定時40歳の男性)は、普通貨物車を運転して道路左側に停車していたところ、加害車両により追突(害車両の突起物が被害車両右後部にぶつかった)され、頸椎捻挫等の傷害を負いました。

原告はその後、約9か月半通院しましたが、最終的に、頸部痛、右手指先のしびれ、右肩甲部通等の症状が残存しました。
上記症状を原因とし、原告は後遺障害の申請を行いましたが、非該当の結果でした。そこで、原告は、上記症状につき後遺障害14級9号が認められるべきとして、訴訟を提起しました。

上記事案につき、裁判所は、下記の理由を挙げ、原告に残存した症状のうち頸部痛につき、14級9号の後遺障害に該当すると認定しています(右手指先のしびれ、右肩甲部痛は非該当)。

  • 停車中の原告車にシートベルトをせずに原告が乗車していたところ、被告車が追突したという本件交通事故の事故態様(一定程度の衝撃があったこと=事故態様から症状が説明可能)
  • 本件交通事故後、治療期間を通じて頸部の痛みを訴えており、なお頸部に痛みがあると供述していること(症状及び治療経過の連続性・一貫性)
  • 事故直後においてジャクソンテスト・スパーリングテストで陽性を示していること(他覚所見はないが、医学的に説明可能である)

また、本件では、後遺障害の認定の有無だけでなく、素因減額の有無についても争われました(被告は6割の素因減額を主張)が、本件事故前の通院実績及び診断書の記載(既往症及び既存障害欄に「なし」と記載されていた)を理由に、素因減額も否定しました。

別の記事でも記載しましたが、自賠責保険の後遺障害の認定結果は、裁判所の判断を拘束するものではなく、自賠責保険においては後遺障害非該当とされたものの、裁判上において後遺障害が認定される事案や、自賠責保険よりも高い等級になる事案も一定程度あります(割合としては多くはありませんが)。本件のように、具体的な事故態様、症状の一貫性等を立証できるかが、ポイントとなってきます。 

(文責:弁護士 村岡 つばさ

交通事故の注目の裁判例

ご相談から解決までの流れ