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交通事故の注目の裁判例

2017/11/29 更新

整形外科を受診せず、交友関係のある整骨院での治療は、施術が有効かつ相当な症状であったとは認められないと、整骨院治療費が否認された事例

大阪地裁堺支部 平成29年2月13日判決

自保ジャーナル1995号

今回は、整形外科を受診せずに、交友関係のある整骨院での治療は、施術が有効かつ相当な症状であったとは認められないとして、整骨院治療費を否認した裁判例をご紹介します。

被害者は、一方通行を後退して逆走してきた普通乗用車に衝突され、左足関節打撲、左膝関節打撲擦過傷、頸椎捻挫等の傷害を負い、B病院に3日、F整骨院に115日通院しました。
被害者が、B病院に支払った6120円、F整骨院から請求されている126万2,050円について損害賠償請求したところ、裁判所は、B病院に支払った6,120円は本件事故による損害と認めましたが、F整骨院から請求されている126万2,050円については否認しました。

理由として裁判所は、

  • B病院において整形外科の受診を指示されているにもかかわらず、整形外科の受診をせずに、被害者と個人的な交友関係にあることがうかがわれる者が経営する整骨院ばかり頻繁に通ったと主張していること
  • 被害者の症状につき、B病院における診断書及び診療録の記載からして、整骨院における施術が有効かつ相当な症状であったことをうかがわせる事情はないこと

を挙げました。

交通事故により傷害を受けた被害者は、治癒までの治療費を損害賠償請求することとなります。被害者が交通事故により受けた傷害の具体的な内容・程度に照らし、治癒するまでに行われた「必要かつ相当な治療」であれば、事故と相当因果関係のある損害として、賠償の対象となります。「必要かつ相当な治療」とは、医学的見地から傷害の治療として必要性及び合理性・相当性の認められる治療行為であり、かつ、その報酬額も社会一般の水準と比較して妥当なものをいうとされています。そのため、治療費の賠償を求めるにあたっては、医療機関が作成した診断書や診療報酬明細書から、傷病名や治療経過などを具体的に主張立証していくこととなります。

整骨院における治療費については、医師による治療でないことから、必要性及び合理性・相当性が争われることがあります。賠償が認められるためには、原則として医師の指示が必要となりますが、施術の必要性・有効性、施術期間・施術内容・施術費の相当性に関する具体的な主張立証がある場合にも賠償が認められると考えられます。

以上から考えると、本件では、B病院における整形外科の受診を指示されていたのに整形外科の受診をせず、交友関係にある整骨院に通院し、B病院における診断書の記載から整骨院における施術が有効かつ相当なであったとは認められないことから、F整骨院での治療は「必要かつ相当な治療」とは認められなかったものと思われます。

治療に当たっては、医師の指示に従うことが重要という点について参考になる裁判例と考え、ご紹介させていただきました。

(文責:弁護士 根來 真一郎

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