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交通事故の注目の裁判例

2019/09/13 更新

18歳男子の左尺骨茎状突起骨折と軽微追突との因果関係を認め自賠責同様14級9号の左手関節痛を認定した裁判例

東京高裁 平成30年12月6日判決

自保ジャーナル2042号

今回は、18歳男子の左尺骨茎状突起骨折と軽微追突との因果関係を認め自賠責同様14級9号の左手関節痛を認定した裁判例をご紹介します。

平成27年1月25日午前6時頃、赤信号で停止中に加害者運転の乗用車に追突される事故に遭いました。原告は、左手舟状骨骨折、左手尺骨茎状突起骨折等の傷害を負い、入通院を余儀なくされました。原告には、自賠責後遺障害14級9号の後遺障害が残ってしまい、被告に対し損害賠償を請求する訴訟を提起しました。
被告は、本件事故の態様及び本件事故前の原告の受傷歴・治療経過からすれば、本件事故により受傷したのではなく、本件事故以前に負った傷害と考えられると主張しました。

裁判所は、原告が本件事故により受傷したか否かについて、下記のように判断し因果関係を認めました。

本件事故の態様及び両車両の損傷状況からすれば、原告車に追突した際の被告車の速度は低速であったことが推認され、本件事故が原告車に与えた衝撃の程度は比較的軽微なものであったと考えられる。
原告の態勢について、右手に疼痛があったため、右手を使わず、左腕を伸ばして左手だけでハンドルを持っていたとし、そのため衝撃時の前方への衝撃及び上半身の荷重が左手首一転に集中した旨を原告は主張していたところ、…原告の本件事故時の態勢が原告の述べるようなものであったとすれば、本件事故による衝撃自体が比較的軽微なものであったとしても、背屈した状態の原告の左手首に瞬間的に相当程度の外力が働くこともあり得ないこととは言えない。

本件事故の態様に照らせば、原告車に及んだ衝撃の程度が比較的軽微なものであったことは否定できないものの、原告の本件事故時の態勢次第によっては、原告の左手首に舟状骨骨折等の傷害が生じることもあり得ないこととまでは言えない。

そして、原告の本件事故後の診療経過に格別不自然な点はないこと、本件事故後のMRI検査において左手舟状骨骨折新鮮骨折の所見が認められること、本件事故以外に当該新線骨折の原因となり得る具体的事実が認められないことのほか、本件事故態様に照らしても、本件事故によって原告の左手首に舟状骨骨折等の傷害が生じることがあり得ないこととは言えないことからすれば、原告の左手舟状骨骨折は本件事故によって生じたものと認めるのが合理的である。そうである以上、MRI検査で同時に認められた左尺骨茎状突起骨折についても、本件事故によって生じたものと認める。

<コメント>
比較的軽微な追突事故の場合、保険会社は因果関係を争ってくることが通常です。そのため、適切な賠償を得るためには、被害者である原告が因果関係を立証する必要があります。本件においては、被害者である原告は、事故時の態勢を丁寧に立証し、その後の診療経過や検査画像の所見をふまえ、因果関係を立証しました。

事故当時の態勢等、具体的に主張立証を尽くしていくことが大事であることを再認識することとなった裁判例でした。

(文責:弁護士 根來 真一郎

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