交通事故の被害にあったら探そう!自動車保険以外の弁護士費用特約
最終更新日:2025年12月1日

- 監修者
- よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
- Q交通事故の被害にあいました。自動車保険以外の弁護士費用特約を使えますか?
-
自動車保険以外の弁護士費用特約を使える場合があります。
多くの方が「弁護士費用特約は自動車保険のみ」と思いがちですが、実際には火災保険や傷害保険、自転車保険、クレジットカードに付帯する保険などにも弁護士費用特約が含まれているケースも少なくありません。
また、あなた自身の自動車保険に特約がなくても、ご家族が加入している別の保険や、日常生活で加入している保険に特約が付いていれば、それを利用できる場合があります。
まずは、落ち着いて自動車保険以外の保険にも弁護士費用特約が付いていないか、確認してみましょう。

目次

弁護士費用特約とは
弁護士費用特約とは、交通事故などで弁護士に相談・依頼した際にかかる費用を、保険会社が代わって負担してくれる制度です。
対象となる費用には、着手金・報酬金・裁判費用・実費などが含まれます。保険料はわずかに上乗せされるだけで、万が一のときに大きな安心を得られるため、非常に心強い特約といえるでしょう。
家族や同乗者も対象になるケースがあるため、自分の保険に弁護士費用特約を付けていない場合には、ご家族の保険を確認することをおすすめします。
自動車保険以外の保険に付いている場合
ここでは、特に確認しておきたい代表的な保険を紹介します。
特に自転車事故や歩行中の事故など、自動車乗車中以外の交通事故については、自動車保険以外の保険についている日常生活型の弁護士費用特約が使える可能性があります。
火災保険
火災保険というと「家が火事になったときの保険」と思われがちですが、日常生活で発生する賠償トラブルに備える特約がセットになっている商品もあります。
この中に「弁護士費用特約」が含まれていることがあり、交通事故における「歩行中の被害」や「自転車事故」など、日常生活に起因する事故として補償の対象になることも少なくありません。
契約している火災保険の「特約一覧」や「日常生活賠償責任保険」の項目を確認してみましょう。
傷害保険
傷害保険は、交通事故を含むさまざまなけがを対象に補償する保険です。意外に思うかもしれませんが、この保険にも弁護士費用特約が付いていることがあります。
なかでも「個人賠償責任保険」がセットされているタイプは、日常のトラブル全般に対応できる構成になっているものが多く、事故後の示談交渉にも利用しやすいと言えるでしょう。
自転車保険
最近では、自転車保険の加入を義務づける自治体も増えており、弁護士費用特約が付けられるタイプの保険も一般的になってきました。
自転車事故は、加害者にも被害者にもなり得るのが特徴です。たとえば「車にぶつけられてけがを負った」といったケースでも、自転車保険の弁護士費用特約を使って、弁護士に相談できることがあります。
通勤や通学で日常的に自転車を利用しているなら、念のため契約内容を一度見直しておくと安心です。
クレジットカード付帯の保険
クレジットカードには、付帯保険として弁護士費用特約が含まれていることもあります。
特に、ゴールドカードやプラチナカードのようなグレードの高いカードには、「旅行傷害保険」や「日常生活賠償保険」とセットで弁護士費用が補償対象に入っている場合も少なくありません。
ただし、どのカードにも一律で付いているわけではなく、補償の範囲や条件はカード会社によってさまざまです。まずは契約時の利用規約や付帯保険の案内資料をチェックし、「弁護士費用補償」の記載があるかどうかを確認してみてください。
医療保険
医療保険に弁護士費用特約が付いているケースは多くはありませんが、一部の保険会社では、オプションとして特約を追加できる商品を取り扱っていることもあります。
たとえば、交通事故で入院や手術が必要になった際、その医療費だけでなく、相手方との交渉や損害賠償請求を進めるための弁護士費用までカバーする内容になっているものもあります。
交通事故の被害によって長期の入院が予想されるようなケースでは、医療保険に付いている特約の内容も一度確認しておくと安心です。
生命保険
生命保険の中にも、付帯特約として「弁護士費用補償」を設けている商品があります。
多くは被保険者が交通事故などで死亡・重度のけがを負った場合に、その損害賠償請求のために発生した弁護士費用を補償する内容です。
家族が契約している生命保険でも対象となることがあるため、万が一に備えて、保険会社に弁護士費用特約の有無を確認しておくことをおすすめします。
よくあるご質問
ここでは、実際に交通事故の被害にあった方から寄せられることが多い質問をピックアップし、弁護士の視点から分かりやすくお答えしていきます。
保険に弁護士費用特約があるかどうか、どうすれば簡単に確認できますか?
まずは、契約している保険会社の「保険証券」や「マイページ」をチェックしてみてください。
その中に「弁護士費用特約」「弁護士費用補償」などの記載があれば、その保険に弁護士費用特約が付いている可能性が高いです。「日常生活賠償責任特約」にセットで弁護士費用に関する補償が含まれている場合もあるため、その特約の詳細も確認してみましょう。
また、保険会社のカスタマーセンターに電話して「弁護士費用特約が付いているか確認したい」と伝えるだけでも、すぐに調べてもらえます。
さらに、ご自身だけでなく、家族の契約も忘れずにチェックしてみましょう。家族の保険に付いている特約を利用できることもあるため、一度にまとめて確認するのがおすすめです。
自動車保険と火災保険の両方に弁護士費用特約がありました。この場合、どのように利用すればよいですか?
複数の保険に弁護士費用特約が付いている場合は、どの保険を利用してもかまいません。ただし、同じ事故で二重に請求することはできないので注意しましょう。
まず自動車保険の特約を優先的に利用し、それが使えない場合に、火災保険や傷害保険など他の保険を検討するのが一般的な流れです。
保険会社によっては、複数の保険が使えるときに「どちらの特約を優先して使うか」を契約約款に定めていることもあります。
どの保険を使えばいいか迷ったときは、弁護士に相談するのが安心です。補償の内容や保険会社の対応スピードなどを比較したうえで、最適なものを選んでもらえます。
弁護士費用特約を使うと保険料は上がりますか?
弁護士費用特約を使っても、通常は保険料は上がりません。
弁護士費用特約は、自動車保険の「等級制度」の対象外です。事故後に利用しても、翌年以降の保険料に影響することはありません。
たとえば、被害者として弁護士に示談交渉を依頼し、特約の限度額(300万円)のうち一部を使ったとしても、保険の更新時に追加料金が発生するようなことはないのです。
そのため、「弁護士費用特約を使うと保険料が高くなるのでは?」と心配して特約を使わないのは、かなりもったいない選択と言えるでしょう。
むしろ、弁護士に交渉を任せることで示談金が増額したり、解決までの時間が短くなるケースも多くあります。費用面を気にせず、安心して専門家に相談できるのが、この特約の大きな魅力です。
まとめ:悩んだらまずは弁護士に相談
交通事故にあったあと、「弁護士に相談したいけれど、費用が不安で動けない」と感じる方は少なくありません。弁護士に依頼するとなると費用が気になるのも当然のことです。ですが、ここで知っておいてほしいのが「弁護士費用特約」の存在です。
弁護士費用特約は、自動車保険に限らず、火災保険や傷害保険、自転車保険、さらにはクレジットカードに付いている保険の中にも含まれていることがあります。
もしこの特約が使えれば、示談交渉や損害賠償請求といった手続きも、ほぼ自己負担なしで弁護士に任せることができます。費用の不安がなくなるだけでなく、精神的なストレスも大きく軽減されるでしょう。さらに、結果としてより適切な賠償金を受け取れる可能性も高まります。
保険の内容を確認しても分かりづらい場合は、弁護士に直接相談してみましょう。一緒に保険の内容を確認しながら、使える特約があれば、そのまま解決に向けて動き出せます。
よつば総合法律事務所では、交通事故の相談を随時受け付けています。お気軽にご相談ください。

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弁護士 粟津 正博













