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死亡事故

最終更新日:2022年11月30日

死亡事故の解決

交通事故でご家族を亡くされた方へ

何より、謹んでお悔やみ申し上げます。
突然やってきた出来事に直面して大きな悲しみ、無念さや、非現実感、喪失感その他言葉で表すことのできない複雑な思いを抱かれていることと思います。
一方で、交通事故でご家族を亡くされた場合、損害賠償請求に関連して保険会社や警察などの対応をしなければなりません。
以下の解説がその一助になれば幸いです。

死亡事故の損害賠償

死亡事故の被害者のご遺族が受けることのできる損害賠償の費目のうち主要なものは、次のとおりです。

  • 葬儀関係費用
  • 死亡逸失利益
  • 慰謝料

治療の甲斐なく被害者が亡くなられたケースですと、さらに治療費や付添費、休業損害といった費目を賠償請求の対象にすることが考えられます。

これらを加害者の保険会社が適正に算定して提案して支払ってくれればよいですが、残念ながらそうはならないことが多いです。

損害賠償額の算定基準は3種類あり、その中で最も高額である裁判基準(弁護士基準・赤い本基準)を用いて算定して保険会社が最初から提案してくることはまずありません。
参考:知っておきたい!交通事故の損害賠償3つの基準

死亡事故の刑事手続

死亡事故の加害者には、刑事上の責任が発生します。警察や検察が捜査し、起訴・不起訴の処分を決め、起訴されたときは刑事上の責任の有無及び程度を裁判所が判断します。
参考:犯罪被害者の方々へ(法務省)

死亡事故Q&A

Q保険会社と示談交渉を始めてもよいですか?
Aよいです。ただし、保険会社と示談交渉をしていることが刑事事件の中で加害者に有利な事情となることがあります。

【解説】

  • 保険会社と損害賠償についての示談交渉を始める時期は、事故後すぐでも事故から一定期間が経過してからでも大丈夫です。
  • 示談交渉をしていることは加害者の刑事事件において加害者に有利な事情になります。加害者にできるだけ重い処罰を求める場合、示談交渉は刑事事件の判決が確定した後の方が無難でしょう。
  • ①自賠責保険の受領、②示談の成立なども刑事事件において加害者に有利な事情になります。
Q葬儀に加害者がきたいと言っています。どうすればよいですか?
A応じてもよいですし、拒否しても構いません。ただし、加害者が葬儀に参列したことが刑事事件の中で加害者に有利な事情となることがあります。

【解説】

  • 葬儀に加害者がきたいと言ってきたとき、その希望に応じるか応じないかは、ご遺族のお気持ち次第です。
  • 加害者が葬儀に参列した事実があれば、加害者の刑事事件で加害者に有利な事情と扱われる可能性があります。通常は、被害者遺族の処罰感情は苛烈ではないことを示す事情と捉えられます。
  • 香典を受け取った事実も、加害者の刑事事件について加害者に有利な事情と扱われる可能性があります。
Q保険会社と話をしたくありません。どうすればよいですか?
A弁護士に依頼をすれば、保険会社は依頼を受けた弁護士に対して連絡してくるようになります。ご遺族が保険会社と話す必要はなくなります。

【解説】
相手保険会社とご遺族は利害が対立する関係にあります。複雑な思いを抱かれる中で相手保険会社からの連絡に対応することを相当なご負担に感じられることもあると推察いたします。
ご遺族が弁護士に依頼をすると、相手保険会社は依頼を受けた弁護士に連絡をし、直接ご遺族ご本人へ連絡しなくなりますので、このようなご負担から解放されます。

Q加害者が逮捕されていません。おかしくないですか?
A加害者が逮捕されないことも珍しくありません。

【解説】
交通事故で人に怪我をさせたり死なせたりした場合、加害者は過失運転致死傷罪という犯罪の被疑者として捜査の対象となります。危険運転致死傷罪や道路交通法違反が問題になることもあります。
捜査の対象となった被疑者は、一般に、逮捕される可能性があります。逮捕は被疑者の逃亡や証拠隠滅を防止するための制度とされており、逮捕するためには逃亡や証拠隠滅のおそれがあることが必要とされています。
死亡事故の事案においても、①事実を認め真剣に反省していること、②自動車任意保険に加入していて被害弁償がなされることが見込まれること、③前科前歴がないこと、④安定した職に就いていること、⑤家族と同居していることなどの事情があるなどのことから逃亡のおそれも証拠隠滅のおそれも見当たらないと認められるときは、逮捕されないことも珍しくありません。
一方で、①前科前歴があって実刑が見込まれること、②事故後現場から逃走したこと、③酒気帯び運転や無免許運転を伴っていたなど悪質性が高いなどといった事情があれば、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあるとされ逮捕される可能性は高くなります。

Q加害者が警察から釈放されました。おかしくないですか?
A逮捕された加害者が釈放されることも珍しくありません。

【解説】
逮捕された被疑者は拘束されますが、その拘束時間は最長でも72時間しかしか認められておりません。
72時間を超えて拘束するためには被疑者が勾留されることが必要です。勾留もまた被疑者による逃亡や証拠隠滅を防止するための制度とされています。
事故現場で逮捕されたものの、必要な捜査は行われ逃亡や証拠隠滅のおそれがないと認められたときは、勾留に至らず釈放されることも珍しくありません。なお、釈放は無罪放免を意味しません。
一方で、①前科前歴があって実刑が見込まれること、②事故後現場から逃走したこと、③酒気帯び運転や無免許運転を伴っていたなど悪質性が高いなどといった事情があれば、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあるとされ逮捕に引き続き勾留される可能性は高くなります。

Q加害者の刑事処分を重くしたいです。どうすればよいですか?
A刑事手続において加害者に有利に考慮される事情を理解した上で行動しましょう。

【解説】
加害者が罪を犯したことが認められる場合、どのような刑事処分が相当かという問題が出てきます。一般に、以下のような事情などが刑事処分の重さを左右します。

  • 計画性の有無
  • 動機
  • 被害の程度
  • 被害感情、示談成立、被害者が許しているか
  • 加害者の反省
  • 刑事処分が家族に与える影響
  • 社会的制裁を受けたか(解雇、長期の勾留等)
  • 前科前歴の有無程度、再犯予防のための方策

これらのうち事故発生後に被害者側がコントロールできる事情は限られています。刑事処分を重くしたいと願う被害者側ができることとしては、

  • 捜査官に重い刑事処分を望むと伝えて調書に載せてもらう。
  • 被害が一部でも回復したと受け取られるような行動をしない。
  • 示談交渉に着手しない。
  • その他、被害者側が許したと誤解される可能性のある行動をしない。

といったことが挙げられます。さらに、刑事公判手続において被害者参加の手続をして心情を直接裁判所に述べることも考えられます。

Q加害者の刑事処分がされませんでした。どうすればよいですか?
A検察審査会に審査申立てをする方法があります。

【解説】
刑事処分がされなかったということですので、おそらく検察官が起訴しなかったのだと思われます。
加害者が起訴されなかったら、この死亡事故の件は刑事裁判になりません。加害者が刑事処分を受けて処罰されることもありません。
検察官が加害者を不起訴とした場合、死亡事故のご遺族は、検察審査会に対し、審査の申立てをすることができます。検察審査会は、一般の国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員で構成されています。
検察官が不起訴処分を行ったことについて審査を行った検察審査会は、「起訴相当」「不起訴不当」「不起訴相当」といった議決をします。「起訴相当」「不起訴不当」の議決がなされた場合は、検察官は再度捜査を行って起訴するか起訴しないかを決めます。
「起訴相当」の議決がなされた後に検察官がまた不起訴処分をしたときは、検察審査会はもう一度審査をし、「起訴すべき」「起訴すべきとはいえない」という趣旨の議決のいずれかをします。「起訴すべき」という趣旨の議決がなされた際は、加害者は必ず起訴されます。この場合、検察官が起訴するのではなく、裁判所が指定した弁護士が起訴することになっています。

Q相続手続はどうすればよいですか?
A財産や負債を相続する手続を行います。また、交通事故に関する損害賠償請求をご遺族が行うこととなります。相続手続の詳細はよつば総合法律事務所の相続問題の解説サイトをご参照下さい。

【解説】

  • 死亡事故に伴う損害賠償請求に着手した時点で、被害者の他の権利義務も全て承継することを承認したとみなされます。被害者の債務が多額の場合、相続放棄も選択肢の1つとなりますので注意しましょう。
Q当面の生活費がありません。どうすればよいですか?
A自賠責保険に仮渡金の請求を行う方法があります。

【解説】
交通事故で一家の大黒柱が失われたなどというときに、当面の生活費の問題が出てくることがあります。
一方、死亡事故による適正な賠償を受けるためには、示談交渉をしたり訴訟手続を利用したりするなど、通常は相応の時間を要します。
こうしたとき、喫緊に必要とする当座の出費に充てることを想定して、速やかに自賠責保険が支払う制度である仮渡金制度を利用することができます。死亡事故の場合の仮渡金は290万円です。これは損害賠償の一部になります。
一方で、刑事裁判では、一部被害回復がされたと扱われ、加害者に有利な事情になる可能性があります。

Q葬儀費用はどのくらい認められますか?
A自賠責基準では100万円、裁判基準では150万円です。

【解説】

  • 自賠責基準では、葬儀費用は100万円です。これは令和2年4月1日以降に発生した事故についての基準です。令和2年3月31日以前に発生した事故については、原則として60万円で、立証資料等により60万円を超えることが明らかな場合は、100万円の範囲内で必要かつ妥当な実費とするという基準になっています。
  • 裁判基準では原則として150万円です。ただし、実際の葬儀費用がこれより低い場合は実際に支出した額ということになっています。
  • 葬儀費用には香典返しを含めません。また、受領した香典を差し引くこともしません。
    参考:葬儀費用の解説
Q慰謝料はどのくらい認められますか?
A自賠責基準と裁判基準(弁護士基準)で異なります。

【解説】

  • 自賠責基準では、次のAとBを加算した金額です。ただし、自賠責保険から支払われる総額の上限は3000万円です。
    A 本人分400万円
    B 遺族分
    ① 遺族が1名 550万円
    ② 遺族が2名 650万円
    ③ 遺族が3名以上 750万円
    ④ 被害者に扶養されている者がいるとき さらに200万円を加算
    ※ここでいう遺族とは、被害者の父母、配偶者及び子を指します。
  • 裁判基準(弁護士基準)では次のとおりとなっています。
    被害者が一家の支柱である場合 2800万円
    被害者が母親、配偶者の場合 2500万円
    その他の被害者 2000万円~2500万円
    ※その他の被害者とは、独身の男女、子供、幼児等を指します。
    ※子供たちが成長して独立したり,ほぼ自立したりしている年齢層の被害者は、ここでいう「母親・配偶者」の典型的な層ではないとされています。「その他」に当たることになります。
    ※この金額は、いわゆる遺族固有の慰謝料も含むとされています。
    ※具体的な斟酌事由により増減があるため、本基準は一応の目安を示したものとなります。様々な事情を考慮して増えたり減ったりすることは実際にあります。
    参考:死亡事故の慰謝料の解説
Q逸失利益はどのくらい認められますか?
A労働逸失利益及び年金逸失利益があります。基礎収入額や年齢、属性等により異なってきます。

【解説】

  • 死亡事故における逸失利益とは、将来得られるはずの収入を指します。労働逸失利益と年金逸失利益があります。
  • 労働逸失利益
    原則として次の計算式で求めます。
    基礎収入×就労可能年数に対応するライプニッツ係数×(1-生活費控除率)
  • 基礎収入とは1年あたりの収入(年収)です。原則として事故発生の前年の現実の収入の金額がこれに当たります。給与所得者、会社役員、事業所得者、家事従事者、若年労働者、学生や生徒等などの被害者の属性によって考慮要素が変わってきます。
  • 就労可能年数は原則として「事故時から67歳まで」と「事故時点での平均余命の2分の1」どちらか多いほうとなります。
  • ライプニッツ係数とは、将来受け取る金銭の価値を現在受け取る金銭の価値に調整するために用いるものです。
  • 生活費控除率は、一応次の基準になっています。
    被害者が一家の支柱で被害者に扶養されている者が1名の場合 40%
    被害者が一家の支柱で被害者に扶養されている者が2名以上の場合 30%
    被害者が女性(主婦、独身、幼児等を含む)の場合         30%
    被害者が男性(独身、幼児等を含む)の場合            50%
  • 年金逸失利益は原則として次の計算式で求めます。
    基礎収入×平均余命に対応するライプニッツ係数×(1-生活費控除率)
  • 年金逸失利益における生活費控除率は労働逸失利益より高くすることが多いです。

    参考:逸失利益の就労可能年数の解説
    参考:逸失利益の生活費控除率の解説
    参考:逸失利益のライプニッツ係数(中間利息控除)の解説

Q自賠責保険に被害者請求した方がよいですか?それとも加害者の任意保険会社と交渉した方がよいですか?
A被害者請求をしたほうがよい場合もあります。

【解説】
①示談成立や判決前に自賠責分を受け取りたい、②被害者側の過失が大きい等の事情があれば被害者請求をしたほうがよいです。

  • ①示談成立や判決前に自賠責分を受け取りたい場合
    とりわけ事故による損害に含まれるような出費が多額に上っているときはメリットが大きいです。
    また、被害者が亡くなられたことにより収入が途絶えて生活の維持のために必要というときにはメリットがあります。
  • ②被害者の過失が大きい場合
    自賠責保険は、被害者に重大な過失がある場合にのみ減額されることになっており、その減額率も通常より低くなっています。死亡事故においては具体的には次のとおりです。そのため、被害者の過失が大きい場合には自賠責保険に請求をした方が望ましい事案が多いです。
    参考 
    ①被害者の過失割合が7割未満    自賠責保険の減額なし
    ②被害者の過失割合が7割以上8割未満 自賠責保険を2割減額
    ③被害者の過失割合が8割以上9割未満 自賠責保険を3割減額
    ④被害者の過失割合が9割以上10割未満 自賠責保険を5割減額

まとめ

死亡事故のご遺族にとっては、①損害賠償請求の関係の対応、②刑事手続の対応、③相続関係の対応等が必要になってきます。
負担軽減につながるかもしれませんし、賠償額の増額につながるかもしれません。実際に依頼するかはともかくとして、一度は弁護士への相談をお勧めします。

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