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交通事故知識ガイド高次脳機能障害

更新日:2021年9月3日

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは

交通事故の衝撃による脳へのダメージ

高次脳機能障害とは、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、多彩な認知障害、行動障害及び人格変化を伴うものです。脳血管障害、低酸素脳症等の脳の病気による他、交通事故により脳が外傷を受けた場合にも現れる障害です。

認知機能障害とは、記憶・記銘力障害、注意・集中力障害、遂行医機能障害などで、具体的には新しいことを覚えられない、気が散りやすい、行動を計画して実行することができない、複数の事を同時に処理できない、話が回りくどく要点を相手に伝えることができないなど多岐にわたる症状が報告されています。行動障害とは、周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、職場や社会のマナーやルールが守れない、行動を抑制できない、危険を予測・察知して回避的行動をすることができない等の障害を指します。人格変化とは、自発性低下、気力の低下、衝動性、易怒性、自己中心的などの特徴が事故前と比較して顕著に現れる場合です。交通事故の外傷により脳実質にダメージを受け、これらの言語・思考・記憶・行為・学習・注意などに 障害が起きた場合は、高次脳機能障害である場合が高いといえます。

レントゲンやCTでは異常が見られず、外見にも目立った変化の無い場合が多いため、少し前までは重大な後遺障害との認識がなかったという実態がありました。本人も命に別条がないことに安どして症状を自覚しなかったり、家族も気がつかずに終わってしまう場合が多くありました。

また、そのために、身体機能に障害がない場合は、身体障害者福祉制度の対象とは基本的にはならないため、生活が困難になってしまう場合が多々あります。近年MRIという神経の損傷や器質的病変を画像化しやすい診断機器が普及し、交通事故による高次脳機能障害という後遺障害が医療関係者に啓蒙された結果、広く認識されるに至りました。

高次脳機能障害は、症状に応じて、後遺障害1級・2級・3級・5級・7級・9級などと格付けされています。

交通事故による高次脳機能障害

ここでは、自賠責保険において高次脳機能障害が認められるかどうかの判断基準について解説します。

頭部外傷による高次脳機能障害と言えることが必要です

交通事故によって高次脳機能障害が発生したというためには、頭部外傷による高次脳機能障害であることが必要です。

頭部外傷と言えるためには、

(1)外傷の際に脳が傷ついたこと、
(2)訴える症状がその外傷によるものであること

が必要です。

具体的な推定方法について

外傷の際に脳に傷が付いたかどうかを推定するためには以下の診断基準を用います。

(1)頭部外傷を負った際の患者の状況(意識障害の程度)から推定する方法
(2)MRI等の得られた検査画像から推定する方法
(3)頭部外傷による高次脳機能障害の状況を詳しく調べ、それが患者の実際の症状に一致しているかどうかを確認すること

が大切です。

高次脳機能障害と自賠責保険について

自賠責保険においては、脳外傷による高次脳機能障害と診断するポイントとして、以下の4点が指摘されています。

(1)頭部外傷急性期における意識障害の程度と期間
(2)家族や実際の介護者や周辺の人が気づく日常生活の問題
(3)画像所見として急性期における何らかの異常所見、または、慢性期にかけての局所的な脳萎縮特に脳室拡大の進行

自賠責保険において高次脳機能障害が認められる場合、1級、2級、3級、5級、7級、9級の可能性があります。
事故後できるだけ早い段階でご相談いただき、正しい治療方針を立てることにより、治療もすすみ、かつ、後遺障害の認定を受けることができる可能性が高くなります。

他の病気と異なり、高次脳機能障害はきちんとした検査・調査によって、大幅に等級が変わる可能性があります。
高次脳機能障害と交通事故において診断された場合には、早急に詳しい弁護士への相談をお勧めします。

高次脳機能障害の後遺障害認定

高次脳機能障害の後遺障害の認定基準と、適正な後遺障害等級認定を受けるための立証上のポイントを解説いたします。

高次脳機能障害の後遺障害等級と認定基準

高次脳機能障害の場合には、症状に応じて、1級1号、2級1号、3級3号、5級2号、7級4号、9級10号等の後遺障害の等級が認定されます。

等級 認定基準
1級1号
(要介護)
身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、 生活維持に必要な身の回り動作に全面的介助を要するもの
2級1号
(要介護)
著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって1人で外出することができず、日常の生活範囲な自宅内に限定されている。
身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
3級3号 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。
また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。
しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、 円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
5級2号 単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。
ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。
このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
7級4号 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
9級10号 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

高次脳機能障害の立証上のポイント

高次脳機能障害の場合、重度の後遺症となることも多く、交通事故直後からの相談が必要不可欠と言えます。特に、事故直後の画像所見や意識障害の程度等医師が被害者を確認した状況が極めて重視されます。
これは、一度失敗してしまうと後になっても挽回が難しくなってしまいます。事故直後の初動を間違ってしまうと、本来認定されるべき後遺症の等級が認定されないという結果になりかねません。

高次脳機能障害の立証ポイント・画像所見

保険会社の対応がよく、特別問題が発生していない場合であったとしても、高次脳機能障害の被害にあった場合には、今後の流れを把握するためにも事故後早めに弁護士事務所に問い合わせをすることをお勧めします。

病状名について

病状名が、脳挫傷、びまん性軸索損傷、びまん性脳挫傷、脳室出血、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、低酸素脳症等の場合には、高次脳機能障害として認定される可能性があります。

画像所見について

事故後なるべく早い時期に撮影したレントゲン、CT、MRIの画像によって何らかの異常があると高次脳機能障害として認定される可能性があります。レントゲンの場合には頭蓋骨の骨折とそれに伴う脳挫傷を確認することができます。CTの場合には、脳萎縮の確認をすることができます。MRIの場合には微細な点状出血や脳萎縮等の病変部を確認することができます。特に、びまん性脳損傷の場合などでCTにおいて異常所見が得られない場合でも、MRIを撮影することで脳内の出血が明らかになることもありますので、MRIについては早期に撮影することが望ましいです。

意識障害について

画像所見に加えて頭部外傷後の意識障害の有無・程度・持続期間を総合的に勘案して判断がなされます。例えば意識障害が一定時間以上続いていること、又は健忘症・軽度意識障害が少なくとも一定期間以上続いていると高次脳機能障害として認定される可能性があります。意識障害の程度が重いほど、重度の高次脳機能障害が残りやすいとされています。
意識障害の有無等については、頭部外傷後の意識障害についての所見という医師作成の資料により判断します。

交通事故から時間がたちすぎてしまうと、この意識障害についての詳細がわからず、適切に診断書を作成できないことがありますので注意が必要です。
病状名・画像所見・意識障害の3点が全てそろった場合、高次脳機能障害として認定される確率が高くなります。

高次脳機能障害の保険金額決定のポイント

家族の介護

高次脳機能障害の被害を負われた方 の場合、将来の介護費や自宅の建て替え費用等が裁判で争いとなることがあります。
1級~3級の高次脳機能障害の事案では、これらの損害についての証拠をきちんとそろえる必要があります。3級の事案の場合、保険会社が将来の介護費を認めず裁判になることも多いので注意が必要です。

高次脳機能障害は骨折等と異なり、明確に目に見える障害がありません。
そのため、保険会社との間で高次脳機能障害の後遺障害の程度、将来働けなくなる割合、将来働けなくなる期間等が争いになることが多々あります。

そもそも高次脳機能障害であることを気付かずに示談をしてしまっていることがまれにあります。一度示談を保険会社としてしまうと、特別の事情がない限りは、再度高次脳機能障害を理由とする保険金請求をすることは難しくなってしまいます。

明らかに目に見える症状や痛みが残っているような場合には、後遺障害に気付かないということは通常ありませんが、高次脳機能障害の場合には後遺障害に気付かないというケースがありますので注意が必要です。

高次脳機能障害の後遺障害認定の注意事項

赤い本
高次脳機能障害の後遺障害認定のためには、様々な検査、医師が作成する資料が必要となります。
また、実際に被害にあってしまった方が作成する日常生活の状況についての資料も必要となります。裁判でも後遺障害認定でも理屈は同じですが、資料を準備してきちんと証明をしないと、適切な後遺障害認定はなされません。

そのため、高次脳機能障害の可能性がある場合には、適切な専門家へのご相談を交通事故後できるだけ早い時期に行うことをお勧めします。

高次脳機能障害はここ最近交通事故の訴訟において多く争われてきた事案です。高次脳機能障害についての詳細は弁護士等の法律の専門家にお問い合わせ下さい。

【動画で見る交通事故】高次脳機能障害の後遺症認定

(解説 : 弁護士 川﨑 翔)

高次脳機能障害の慰謝料

交通事故による高次脳機能障害の慰謝料

高次脳機能障害についてはどのような慰謝料が認められるでしょうか。

高次脳機能障害が認められる場合に、支払われる慰謝料の項目は原則として2つあります。

一つは入通院の期間に応じて支払われる傷害(入通院)慰謝料です。
もう一つは認定された後遺障害の等級に応じて支払われる後遺障害慰謝料です。

1. 傷害(入通院)慰謝料

入通院慰謝料は、入院と通院の日数・期間によって算定されます。

入院及び通院の期間が長期にわたるほど、算定される金額は高額になる傾向があります。特に入院をしている場合は、そうでない場合と比較して、慰謝料が高額になる傾向にあります。

受傷直後に脳の損傷・出血等が認められる場合、入院を伴うことが通常ですので、入通院慰謝料は少なくない金額になることが多いです。

裁判所は、入通院慰謝料について入院及び通院の期間を参照して定額化して算出することが原則ですが、個別の事情を加味して決定することもあります。

例えば裁判所の基準を示した赤い本には「傷害の部位、程度によっては、別表Ⅰの金額を20~30%程度増額する。」「生死が危ぶまれる状態が継続したときなどは、入通院期間の長短にかかわらず別途増額を考慮する」との記載があります。

実際の裁判例を参照しても、傷害の部位・程度による増額が考慮されている例として高次脳機能障害を残しているものが散見されます。また、受傷直後にICUにいる期間が長い、意識が1か月以上戻らない期間等の事情により生死が危ぶまれる状態が継続したものとして慰謝料が増額される可能性もあるでしょう。

定型の診断書のみならず、被害者本人・近親者の証言、カルテの記載などにより、受傷の大きさ、事故による精神的苦痛を具体的に立証することが重要になります。

2. 後遺障害慰謝料

高次脳機能障害において後遺障害等級が何級に認定されるか否かによって、慰謝料は変わってきます。以下は裁判基準での標準的な慰謝料額です。

別表第一第1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 慰謝料2,800万円
別表第一第2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 慰謝料2,370万円
別表第二第3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 慰謝料1,990万円
別表第二第5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に経緯な労務以外の労務に服することができないもの 慰謝料1,400万円
別表第二第7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 慰謝料1,000万円
別表第二第9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 慰謝料690万円

赤い本には明示されていませんが、後遺障害の状態・程度によって後遺障害慰謝料が基準額より多くなる例もあります。高次脳機能障害により、重度の等級が認定されている場合、具体的な生活状況を主張立証することで、基準額以上の慰謝料が認定されている裁判例が散見されます。

高次脳機能障害による後遺障害が認められる場合、後遺障害の認定手続きを通じて、親族や看護者から見た被害者の日常生活状況をまとめて報告することが通常です。

これらの報告書なども活用して、交渉・訴訟の場面でも被害者の生活状況を主張立証することが考えられます。

その他:近親者固有慰謝料

重度の後遺障害が残る場合に、例えば被害者の両親、配偶者等近親者に与える影響も甚大なものがあります。このような場合、近親者にも別途固有の慰謝料請求権が認められる場合があります。

また、例えば自賠責における後遺障害認定実務では、1級と2級は介護を要する程度のものと規定されて(1級は常時、2級は随時)います。このように近親者の介護を将来的に要するような場合は、将来的な精神的負担を考慮して、近親者固有の慰謝料が別途認定されることがあります。

特に被害者が未成年の場合、将来を奪われた点や介護の負担に言及して、両親の慰謝料を別途認定される傾向がありますので注意が必要です。


交通事故において、高次脳機能障害が認められるか否かによって損害賠償額には相当額の差がでます。きちんとした専門医及び弁護士へのお問い合わせをお勧めします。

高次脳機能障害の必要な検査と作成すべき書類

高次脳機能障害が疑われる場合に、必要な検査、作成すべき書類は何でしょうか?

  1. 高次脳機能障害の後遺障害等級を取得するためには、きちんとした検査結果を集めることが必要です。高次脳機能障害の場合、様々な検査が必要です。
  2. 「頭部外傷後の意識障害についての所見」の書類の作成を治療を担当した脳神経外科の先生に依頼します。画像所見があるかどうかは高次脳機能障害が認められるかどうかによって重要な要素となります。
  3. 画像がきちんとあるかどうか確認します。具体的にはCT、MRIの画像です。
    画像所見が認められない場合には、SPECT検査を追加で行った方がよいかもしれません。SPECT検査とは、脳の血流状態を画像にして見ることができる検査です。
  4. 認知障害についての検査を行います。WAIS-R、ベンダーゲシュタルト、コース立方体テスト等です。精神科の先生に依頼をします。
  5. 「日常生活状況報告表」を自分で作成します。事実と異なることを書かないよう正確な記載をすべきです。この点の記載を怠ると、高次脳機能障害としての後遺障害が認定されないことがあります。
  6. 「脳外傷による精神症状等についての具体的な所見」の作成を主治医に依頼します。

その他、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科での検査が別途必要なこともあります。

上記のような一連の流れの中で、様々な問題点が出てきて相談をしたいということがあるかもしれません。高次脳機能障害で後遺障害の診断書を提出する前に、一度弁護士等の法律の専門家にご相談された方がよいでしょう。

なお、高次脳機能障害の後遺障害が認定されるためには3つの条件がまずは必要といわれています。

(1)傷病名が脳挫傷・びまん性軸索損傷・びまん性脳挫傷・急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳室出血等の脳外傷を伴うものであること
(2)それらがレントゲンの画像、CTの画像、MRIの画像で確認ができること。すなわち、画像で確認できる客観的所見としての異常があること
(3)頭部外傷後の意識障害が認められること。すなわち、事故直後の被害者の状況が高次脳機能障害を発生させる可能性のある状況であること

高次脳機能障害を弁護士に相談するタイミング

高次脳機能障害の場合、弁護士にはいつの段階で問い合わせした方がよいでしょうか?

原則として事故後すぐのお問い合わせがよいです

高次脳機能障害の場合、様々な検査を行ったり、様々な診断書・問診票等を作成して保険会社に提出する必要があります。

そのような資料については、適正な事実が記載されているかどうかを事前に弁護士が確認した方がよいと言えるでしょう。

交通事故を扱っている弁護士の中でも、事故後すぐのお問い合わせを受付していない弁護士もいます。

弁護士には事故後すぐのお問い合わせを

しかし、私たちの事務所では、交通事故の人身事故の場合には、事故後すぐに弁護士にお問い合わせすることをお勧めしています。なぜなら、初動の対応を誤ってしまうと、その後の解決がうまくいかないということを経験上知っているからです。

例えば、頭部外傷による高次脳機能障害が疑われる場合でMRIを撮影しなかった結果、症状を裏付ける画像所見が得られる、適正な後遺障害認定が得られないこともあります。。

いずれにしても、高次脳機能障害(脳の障害)がある場合には、早めに弁護士へ相談することをお勧めします。

後遺障害診断書を保険会社に提出する前には弁護士に問い合わせをしましょう

弁護士川崎翔の画像解析

後遺障害診断書及び添付の資料を保険会社に提出の上、一度後遺障害等級についての認定が届いた場合、一度行われた認定を覆すことには困難を伴うことがあります。

後遺障害診断書を作成して保険会社に提出する前に、内容が正確・適正かどうかということを高次脳機能障害の特質を踏まえた上で判断することが必要です。

自賠責の等級認定が重要です

高次脳機能障害の場合、「高次脳機能障害」や脳の外傷を疑わせる病名であったとしても、後遺障害等級第1級から第14級まで様々な後遺障害に該当する可能性があります。

原則として自賠責保険の等級認定を基準として、その後の手続きは進んで行きますので、可能な限り、高次脳機能障害の場合には自賠責保険の認定を適正に行うことが必要です。

後遺障害診断書

高次脳機能障害Q&A

交通事故による高次脳機能障害について、よくご相談を頂くQ&Aです。