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交通事故知識ガイド損害賠償の知識

損害賠償額の計算方法

解説者の弁護士大澤一郎

「保険会社から示談の提案が来たけれど、見方が分からない」というご相談をよく頂きます。

保険会社から提示された示談の提案は、損害の項目ごとに個別に計算した金額が入っています。

交通事故の損害賠償金は、様々な損害項目を合算した数字ですので、はじめて示談書を見る方には難解であるのは、無理もありません。そもそも、損害項目の意味を理解するだけでも大変な労力です。

見方が分からなかったり、不満な点がある場合は、当事務所にご相談いただければ、項目を解説させて頂いた上で、交渉の余地があるかどうかも含めて、アドバイスさせて頂きます。
特に、後遺障害1級~14級が認定された場合には、損害項目の計算もより複雑になってきますので必ず弁護士に一度ご相談することをお勧めします。

下記には、保険会社が示談の提案をしてくる際の損害賠償額の代表的な項目に関する注意点を記載いたしたので、参考にしてください。

傷害事故の賠償額の計算

傷害事故の賠償額の計算は、以下の表のA~Eの合計額です。

A 治療関連費 治療費・付添看護費・入院中雑費・通院交通費・装具代・家屋改造費など
B 休業補償 事故で減少した収入の補償(治療期間中)
C 入通院慰謝料 受傷(入通院)による精神的苦痛の補償
入通院期間と傷害程度による基準がある。
D 逸失利益 残りの人生で予想される収入減少の補償(症状固定後)
※事故前年収入や労働能力喪失率を基準に算定
E 後遺障害慰謝料 後遺障害による精神的苦痛の補償
後遺障害の等級による基準がある。

交通事故における損害賠償の項目について

※死亡慰謝料、死亡逸失利益については、こちらをご覧下さい。

治療費

治療費が認められるのは、「必要かつ相当な範囲」とされています。
つまり、不必要な治療とみなされた部分は、過剰治療として、賠償金の請求ができません。
特に、整骨院の施術費については近年特に裁判で争われることが多いので慎重な検討及び対応が必要不可欠です。
また、後遺障害が残る場合、症状固定後の治療についても、原則として請求できません。

保険会社は、治療が継続している場合であったとしても、「不必要な治療」として治療費の支払を打ち切り、打ち切るまでの治療費のみを保険会社負担分の治療費として提示することがあります。
また、整骨院の施術費のみ打切りをしてくることもあります。

しかし、「不必要な治療」かどうかに関して、保険会社の判断が必ずしも正しいわけではなく、請求できることがありますので、注意が必要です。最終的に保険会社と合意ができない場合には、裁判所が決めるということになります。

交通事故と治療のポイント

入通院慰謝料

慰謝料とは、精神的苦痛の対価としての損害賠償金です。
入通院慰謝料は、裁判所の基準では、入院・通院の期間を元に計算されますが、自賠責保険の基準や任意保険の基準は、裁判所の計算方法とは異なります。裁判所の基準が一番高く、自賠責保険の基準及び任意保険の基準はそれよりも低い基準となっています。

保険会社は、弁護士が代理しない交渉の場合、通常、裁判所での基準や、弁護士が代理した場合の基準と比べると低額な、自賠責保険基準、任意保険基準を根拠に金額を提示してくることがあります。
そのため、十分な注意が必要です。

交通事故と慰謝料のすべて

休業損害

休業損害は、収入の日額×必要な休業日数によって金額が決まります。裁判基準では、「収入」は実際の収入のことですが、保険会社は低く見積もった金額を提示してくることがあります。

当事務所では、実際の収入に即した休業損害を算定して、保険会社に請求します。よく保険会社が出す示談案から抜けている項目として、主婦の休業損害や、無職者(今後働く可能性がある人)の休業損害があります。実際に収入がある方は休業損害という損害があることにすぐ気付きますが、家事・無職の場合には損害の項目があるということ自体に気付かないことがありますので注意が必要です。
また、有給休暇を使用した場合にも、休業損害として請求をすることが可能となります。

また、自営業の方の休業損害の算定には難しい争いが発生することが一般には多いです。損害額をめぐって裁判になることも多い傾向にあります。

個人事業主の休業損害

逸失利益

後遺障害に関する損害賠償には、後遺障害によって仕事が制限されることの補償である「逸失利益」と、後遺障害による精神的苦痛に対する「慰謝料」の2つがあります。

後遺障害に関する損害賠償は、後遺障害等級認定によって大きく変わってきます。そのため、1級~14級までのどの等級に認定されるかが、極めて重要な要素となります。
「逸失利益」は、交通事故前の基礎年収×労働能力喪失割合×労働能力喪失期間という計算式で算出されます。
被害者としては、前提となる基礎収入が高いほど、労働能力喪失割合は大きいほど、労働能力喪失期間は長いほど有利です。

一方で保険会社は、労働能力喪失割合を少なく見積もって、逸失利益を低く算定しようとすることがあります。また、労働能力喪失期間をできる限り短く見積もろうとすることもあります。

逸失利益の特徴は将来の労働への影響を、示談交渉(ないし訴訟)の時点で検討しなければいけない点です。厳密には将来起こりうることは誰にもわかりませんので、様々な議論が交わされる余地を孕んでいます。また、一生涯の後遺障害による影響を議論するものですので、後遺障害の内容によっては金額が大きくなることがあり、被害者及び保険会社にとって大きな関心事となり得ます。このような観点から逸失利益に関しては、裁判で激しく争われるケースも多く、様々な判断をした裁判例があることに留意する必要があります。

後遺障害慰謝料

「慰謝料」は、後遺障害の重さである後遺障害等級によって定まることとなりますが、裁判基準より低い金額を提示してくることがあります。
例えば、後遺障害等級14級の場合、保険会社は40万円台の提案をしてくることが多いのですが、裁判基準では110万円となります。