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交通事故知識ガイド各損害の損害賠償基準の詳細解説

高齢者の逸失利益の基礎収入

高齢者の逸失利益の基礎収入についての損害賠償の基準

損害賠償の基準

(赤い本と青い本は賠償基準をまとめた本です。自賠責保険は加入義務のある保険です。)

赤い本の損害賠償基準

  • 原則として事故前の現実収入を基礎とする。
  • 無職者で就労の蓋然性がある場合、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別、年齢別平均の賃金額を基礎とする。

青い本の損害賠償基準

  • 基礎収入額は、原則として事故前の現実収入額とする。
  • 高齢や不労所得が十分にあるなど、今後の稼働による収入獲得があまり想定できない場合には、逸失利益は否定される。

自賠責保険の損害賠償基準

  • (高齢者であることを理由とする特段の言及なし)

高齢者の逸失利益の基礎収入Q&A

Q65歳で定年退職後10年間仕事をしていませんが今回事故の被害にあい怪我をしました。逸失利益は認められますか?
A認められない確率が高いでしょう。

【解説】

  • 逸失利益が認められるためには、就労の可能性がある程度あることが必要です。
  • 75歳で長期間仕事をしていない場合、就労の可能性があると判断されないことが多いでしょう。
Q高齢者でも仕事をして収入を得ていれば事故前の収入額を元に基礎収入を算定しますか?
A事故前の収入額を元に基礎収入を算定する確率が高いでしょう。

【解説】

  • 今後、どの程度仕事が続くかという観点から一定の減額がされる可能性はあります。
Q高齢の女性で主婦です。逸失利益の基礎収入はどのように計算しますか?
A全女性平均の賃金センサスを利用することが多いですが、高齢であることを理由に減額することもあります。

【解説】

  • 令和2年の全女性平均の賃金センサスは381万9200円です。
  • 高齢の女性の場合、全女性平均の賃金センサスの金額の〇%というように減額となることがあります。
  • 高齢の女性の場合、全年齢平均の賃金センサスではなく、①65歳以上の賃金センサス、②70歳以上の賃金センサスなどを利用することもあります。

過去の具体的な事例

東京地方裁判所平成26年9月10日判決

【結論】

  • 賃金センサス65歳から69歳の平均額313万7100円の70%を逸失利益の基礎収入と認めた

【理由】

  • 定年退職後具体的な就労予定のない高卒単身者の56歳男性
  • 脊柱の運動障害変形障害等(後遺障害等級併合7級)
  • 両親の介護を事故時していた
  • ホームヘルパーとして稼働することを考え介護保険法施行令所定の研修を終了
  • 就労の意思及び能力あり

名古屋地方裁判所平成17年8月26日判決

【結論】

  • 年間120万円を逸失利益の基礎収入と認めた

【理由】

  • 80歳の男性
  • 高次脳機能障害(後遺障害等級1級)
  • 長男が経営する医院で日常清掃業務に従事
  • 月額20万円の給与
  • 身分関係からすると月額20万円のうち10万円は実質的には贈与
  • 10万円×12カ月の120万円を基礎収入とするのが相当

東京地方裁判所平成15年1月14日判決

【結論】

  • 賃金センサス男性学歴計65歳以上の平均賃金の60%の年245万円を基礎収入と認めた

【理由】

  • 無職の66歳男性
  • 51歳のころに大腸がんの手術を受け職場を退職後は家事労働に従事
  • 退職後は就職活動をした実態は認められない
  • 事故当時の健康状態に問題なし
  • 今後就労する必要はあったと考えられる
  • 妻は公務員だか大幅減収

まとめ

  • 高齢者の逸失利益の基礎収入は、原則として事故前の現実収入を基礎とします。
  • 高齢の無職者で就労の蓋然性がある場合、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別、年齢別平均の賃金額を基礎とします。
  • ただし、高齢の場合、①事故前の現実収入や②賃金センサスの平均額をある程度減額して逸失利益を計算することもあります。

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