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交通事故知識ガイド各損害の損害賠償基準の詳細解説

家事従事者の逸失利益の基礎収入

家事従事者の逸失利益の基礎収入についての損害賠償の基準

損害賠償の基準

(赤い本と青い本は賠償基準をまとめた本です。自賠責保険は加入義務のある保険です。)

赤い本の損害賠償基準

  • 賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎とする。
  • 有職の主婦の場合、実収入が上記平均賃金以上のときは実収入により、平均賃金より下回るときは平均賃金により算定する。家事労働分の加算は認めないのが一般的である。

青い本の損害賠償基準

  • 女性労働者の平均賃金(賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計の全年齢平均賃金又は年齢別平均賃金)を用いる。
  • 通常の場合は全年齢平均賃金額を基礎収入額とすることが多い。
  • 高齢者の場合は、年齢別平均賃金が採用される傾向にある。相当な高齢者の場合には、身体状況や家族との生活状況を考慮して、賃金センサスの金額の何割かに減額した額を基礎収入額とする例もある。
  • 家事に従事しつつ、給与所得者としてあるいは事業により収入を得ているものも多いが、その場合でも、実収入部分を女性平均賃金に加算せず、平均賃金額を基礎収入とする。金銭収入が平均賃金額以上のときは、実収入額によって給与所得者あるいは個人所得者等として損害額を算定する。

自賠責保険の損害賠償基準

  • 全年齢平均給与額の年相当額とする。ただし、59歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合には、年齢別平均給与額の年相当額とする。

家事従事者の逸失利益の基礎収入Q&A

Q家事従事者の逸失利益の基礎収入はいくらになりますか。
A年収3,819,200円となります。

【解説】

  • 賃金センサス令和2年女性学歴計の数値は年収3,819,200円です。
Q私は兼業主婦ですが年収500万円です。後遺障害逸失利益の基礎収入はどのように計算しますか?
A家事の年収3,819,200円と仕事の年収500万円を比較して、多い方である年収500万円で計算します。

【解説】

  • 主婦の平均年収と実収入を比較して多い金額が認められます。
Q家事従事者とは何ですか?
A専業主婦、兼業主婦など主として家事を行っている人です。

【解説】

Q高齢者の主婦の場合、逸失利益の基礎収入はいくらになりますか?
A一律には言えませんが、通常の家事の年収分から少し引いた位の金額となることが多いです。

【解説】

過去の具体的な事例

東京地方裁判所平成23年10月24日判決

【結論】

  • 賃金センサス通りの年収349万9900円が逸失利益の基礎収入と認められた

【理由】

  • 非器質性精神障害(後遺障害等級12級)、左股関節機能障害(後遺障害等級10級)、左大腿部知覚鈍麻(後遺障害等級14級)の64歳女性(後遺障害等級併合9級)
  • 女性の主婦平均年収は349万9900円

東京地方裁判所令和元年7月12日判決

【結論】

  • 賃金センサス女性学歴計70歳以上平均の90%の年収271万3320円が逸失利益の基礎収入と認められた

【理由】

  • 右大腿骨転子部骨折後の疼痛(後遺障害等級14級)の81歳専業主婦女性
  • 家事全部を負担
  • 無職の夫と二人暮らし
  • 賃金センサス女性学歴計70歳以上平均の90%の年収271万3320円が相当

名古屋地方裁判所平成30年4月18日判決

【結論】

  • 賃金センサス通りの年収364万1200円が逸失利益の基礎収入と認められた

【理由】

  • 自宅で翻訳業を営みつつ両親の介護等をしていた50歳の男性
  • 翻訳業の収入は年189万円
  • 女性の主婦平均年収は364万1200円

まとめ

  • 年収3,819,200円を基礎に主婦の逸失利益の基礎収入は算定されます。
  • 年収3,819,200円よりも実収入の方が多い兼業主婦の場合、実収入を元に逸失利益の基礎収入は算定されます。

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