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交通事故知識ガイド賠償額にかかわる「赤い本」と「青い本」

休業損害・事業所得者について

赤い本(事業所得者)

現実の収入減があった場合に認められる。なお、自営業者、自由業者などの休業中の固定費(家賃・従業員給料など)の支出は、事業の維持・存続のために必要やむを得ないものは損害として認められる。

青い本(事業所得者)

(現実の収入減があることを原則として、個別具体的な判断をします。)

自賠責

1日につき原則として5,700円とする。

解説

(1)事業所得の場合、基礎収入額は通常、事故前年の確定申告所得額によって認定します。青色申告控除がなされている場合には、同控除額を引く前の金額を基礎とします。

(2)年度間で相当の変動が認められる場合その他前年度の金額で算定するのが不適切だと考えられる場合は、事故前数年分を参考に、数年分の平均額を採用するなど適当な金額を事業所得の場合認定することとなります。

(3)確定申告を上回る所得があるとの主張、経費の水増しがあるとの主張については、かなりの確実性のある立証がある場合以外には事業所得の場合認められないことが多いです。

(4)確定申告を全くしていない場合であったとしても、直ちに無収入と算定されるわけではありません。できるだけ事業所得を立証するための資料を準備することがこの場合には必要です。

(5)代替労働力を利用して休業を回避したときは、それに要した必要かつ妥当な費用額が事業所得の休業損害として認められます。

(6)事業を継続する上で休業中も支出を余儀なくされる家賃・従業員給料などの固定経費も相当性がある限り事業所得の休業損害に含まれます。

(7)事業再開後の損害、廃業に関する損害が認められることもあります。
具体的には、(ア)受傷が原因で直接廃業した場合、(イ)休業による客離れの影響が営業再開後も発生する場合、(ウ)営業再開のための特別な支出の賠償が認められる等の場合です。

(8)事業所得者の休業損害は、経験上保険会社ともめて裁判となることが多いです。
事業所得の場合、様々な要素で所得が決まるので、給与所得の方のように簡単に休業損害の額が認定できないことが問題です。
また、事業所得を算定するにあたってどの経費を控除するかという問題も発生するために問題はとても複雑になることが多いです。最終的には裁判も辞さない覚悟で事業所得者の方は臨んだ方がよいと思います。

事例

(1)左官職人(男性・症状固定時42才・後遺障害等級12級5号)につき、右肩の機能や筋力回復の必要、作業の安全性等の事情を考慮して、症状固定まで660日間100%を認めた。

(2)材木仕入・販売業(男性・71歳・右膝痛14級)につき、事故前年の申告所得額は170万円であったが、借入金の返済状況(年額260万円を返済)、扶養家族の人数(妻と孫2人)に鑑みると、170万円で生活していくことは困難であるとして、年齢別平均385万3,800円を基礎とした。

(3)妻の協力により減収のない建設工事業代表者につき、賃セ男性学歴計35歳から39歳平均を基礎として、入院中は100%、その後の1年間は50%、その後症状固定まで133日間は20%の労働能力制限が認められた。