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交通事故知識ガイド各損害の損害賠償基準の詳細解説

休業損害・会社役員

休業損害・会社役員についての損害賠償の基準

損害賠償の基準

(赤い本と青い本は賠償基準をまとめた本です。自賠責保険は加入義務のある保険です。)

赤い本の損害賠償基準

  • 会社役員の報酬については、労務提供の対価部分は休業損害として肯定されるが、利益配当の実質をもつ部分は消極的である。

青い本の損害賠償基準

  • 取締役報酬額をそのまま基礎収入とするのではなく、取締役報酬中の労務対価部分を認定し、その金額を基礎として損害算定する。
  • 経営者の得る報酬(給与)の中には、労働の対価とともに、企業経営者として受領する利益の配当的部分があり、この部分は休業により失われないので、損害算定の基礎から除外するという考え方である。

自賠責保険の損害賠償基準

  • 1日につき原則として6100円とする。

会社役員の休業損害Q&A

Q会社役員とは何ですか?
A株式会社などの法人の代表取締役、取締役などです。

【解説】

  • 株式会社以外にも有限会社、合同会社、合資会社、合名会社などがあります。
  • 個人で事業を行う個人事業主の休業損害のルールは会社役員の休業損害のルールと異なります。個人事業主の場合には、事業所得者の休業損害の解説をご参照下さい。
Q「労務対価部分の休業損害は認められる」とはどういう意味ですか?
A社長等が実際に働くことにより得られていると評価される部分の休業損害は認められるという意味です。
Q「利益配当の実質を持つ部分の休業損害は認められない」とはどういう意味ですか?
A社長等が実際に働くことにより得られていると評価されない部分の休業損害は認められないという意味です。
Q労務対価部分と利益配当部分を分ける基準はありますか?
A個別の事案ごとに決められます。

【解説】

次のような事情等を総合考慮します。

  • 会社の規模(同族会社か否か)
  • 会社の利益状況
  • 当該役員の地位
  • 当該役員の職務内容
  • 当該役員の年齢
  • 当該役員報酬の額
  • 他の役員・従業員の職務内容と報酬・給料の額(親族役員と非親族役員の報酬額の差異)
  • 事故後の当該役員他の役員の報酬額の推移
  • 類似法人の役員報酬の支給状況
Q会社役員で休業しましたが役員報酬の支払はありました。休業損害は請求できますか?
A難しいでしょう。

【解説】

  • 事故前と同額の役員報酬の支払が継続している場合、損害がないと判断されることが多いでしょう。
  • ただし、法人が損害を受けたという前提で法人が加害者に請求できる可能性はあります。

過去の具体的な事例

東京地方裁判所平成30年8月14日判決

【結論】

  • 法人役員について年収1800万円を基礎に休業損害が認められた

【理由】

  • 専務取締役の35歳
  • 年間売上2億円、役員3人、社員24人、パート40人の会社
  • 兄とともに会社経営
  • 毎日出勤
  • 事故前の役員報酬年間3530万円
  • 事故後の役員報酬年間1200万円に減額
  • 減額分全額を休業損害とすることは相当ではない
  • 年収1800万円を前提に休業損害を計算

千葉地方裁判所平成29年7月19日判決

【結論】

  • 法人代表取締役について年収273万円を基礎に休業損害が認められた

【理由】

  • 右足関節機能障害の会社代表取締役の40歳(後遺障害等級10級)
  • 会社の経費の一部が生活費に充てられている(交際費・会議費・旅費交通費・通信費・地代家賃・燃料費・消耗品費・水道光熱費)
  • 経費の一部を加算して年収を算定することが相当

横浜地方裁判所平成24年12月20日判決

【結論】

  • 155万円を会社の損害として認めた

【理由】

  • 法人の唯一の取締役が休業
  • 年収900万円の役員報酬は支払を継続
  • 会社はパートの妻、従業員1名、アルバイト3名
  • 取締役が加害者に直接請求できる損害を法人が肩代わりして支払
  • 労務対価部分の年収は900万円中720万円
  • 79日分の休業損害で155万円

まとめ

  • 会社役員の休業損害は、労務提供対価部分は認められることが多いです。
  • 会社役員の休業損害は、利益配当部分は認められないことが多いです。
  • 個別の事案に応じて、会社役員の休業損害の具体的な金額は決まります。

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