後遺障害・慰謝料など交通事故は実績豊富な弁護士事務所にご相談下さい
メニュー
交通事故知識ガイド各損害の損害賠償基準の詳細解説

役員報酬の逸失利益の基礎収入

役員報酬の逸失利益の基礎収入についての損害賠償の基準

損害賠償の基準

(赤い本と青い本は賠償基準をまとめた本です。自賠責保険は加入義務のある保険です。)

赤い本の損害賠償基準

  • 会社役員の報酬については、労務提供の対価部分は認容されるが、利益配当の実質をもつ部分は消極的である。

青い本の損害賠償基準

  • 名目的な報酬額をそのまま基礎収入とするのではなく、労務対価部分の金額を適宜認定して基礎収入額とすることになる。

自賠責保険の損害賠償基準

  • 1 事故前1年間の収入額と後遺障害確定時の年齢に対応する年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額を収入額とする。
  • 2 ただし、以下の場合には次の金額を収入額とする。
    ①35歳未満であって事故前1年間の収入を立証することが可能なもの
    事故前1年間の収入額、全年齢平均給与額の年相当額及び年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額
    ②事故前1年間の収入を立証することが困難な者
    35歳未満の者
    全年齢平均給与額の年相当額又は年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額
    35歳以上の者
    年齢別平均給与額の年相当額

役員報酬の逸失利益の基礎収入Q&A

Q労務提供部分と利益配当部分とは何ですか?
A労務提供部分とは、被害者が自ら働いたことに対する対価と評価できる部分です。
利益配当部分とは、被害者が自ら働いたことに対する対価とは評価できない部分です。
Q労務提供部分と利益配当部分はどのような要素で区別しますか?
A①会社の規模・利益状況、②当該役員の地位・職務内容、③役員報酬の額、④他の役員・従業員の職務内容と報酬・給与の額、⑤事故後の役員報酬の減少、⑥同種企業における平均的な役員報酬額などを基準に区別します。
Q会社役員の逸失利益を決めるにあたって、会社の規模はどのような関係がありますか?
A大企業などのサラリーマン重役の場合、役員報酬全額が労務対価部分となることが多いです。
他方、会社が小規模であり高額な役員報酬を得ている場合、役員報酬全額が労務対価部分とはならないことが多いです。
Q会社役員の逸失利益を決めるにあたって、会社の利益状況はどのような関係がありますか?
A会社の業績が良い場合、役員報酬が不相当に高額とは言いにくくなります。そのため、全額が労務対価部分と認められやすくなります。
他方、会社の業績が悪い場合、役員報酬が高額となることがあります。そのため、全額が労務対価部分と認められにくくなります。
Q会社役員の逸失利益を決めるにあたって、役員の地位・職務内容はどのような関係がありますか?
A実質的な業務を行っている代表取締役のような場合、役員報酬が労務対価部分と認められやすくなります。
他方、名目的な取締役に過ぎない場合、役員報酬が労務対価部分とは認められにくくなります。
Q会社役員の逸失利益を決めるにあたって、役員報酬の額はどのような関係がありますか?
A役員報酬が高額の場合、全額が労務対価部分と認められにくくなります。他方、役員報酬が高額ではない場合、全額が労務対価部分と認められやすくなります。
Q会社役員の逸失利益を決めるにあたって、他の役員・従業員の職務内容と報酬・給与の額はどのような関係がありますか?
A他の役員従業員と同内容の報酬給与であれば全額が労務対価部分と認められやすくなります。
他方、他の役員従業員と同内容の報酬ではなく高額の報酬の場合、全額が労務対価部分とは認められにくくなります。
Q会社役員の逸失利益を決めるにあたって、事故後の役員報酬額の減少はどのような関係がありますか?
A事故後に役員報酬が減額となっている場合、全額が労務対価部分と認められやすくなります。
他方、事故後も役員報酬が変わっていない場合、全額が労務対価部分と認められにくくなります。
Q会社役員の逸失利益を決めるにあたって、同種企業における平均的な役員報酬額はどのような関係がありますか?
A同種企業の役員報酬額に近い場合、全額が労務対価部分と認められやすくなります。他方、同種企業の役員報酬額より高額の場合、全額が労務対価部分と認められにくくなります。

過去の具体的な事例

東京地方裁判所平成28年11月17日判決

【結論】

  • 役員報酬年間1080万円が認められた

【理由】

  • 印刷機器販売等会社代表者の71歳男性
  • 右上肢変形障害、右股関節神経症状、頭部神経症状(後遺障害等級併合11級)
  • 会社は1人会社
  • 親族が経理事務を手伝うほかは、本人が単独で印刷機器の販売を行う
  • 実際の役員報酬年額全額1080万円を逸失利益の基礎収入として算定

まとめ

  • 会社役員の逸失利益の基礎収入については、役員報酬のうち、労務提供の対価部分は認められることが多いです。他方、役員報酬のうち、利益配当の実質をもつ部分は認められないことが多いです。
  • 労務提供部分か利益配当部分かは、①会社の規模・利益状況、②当該役員の地位・職務内容、③役員報酬の額、④他の役員・従業員の職務内容と報酬・給与の額、⑤事故後の役員報酬の減少、⑥同種企業における平均的な役員報酬額などを基準に区別します。

関連リンク