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交通事故知識ガイド賠償額にかかわる「赤い本」と「青い本」

逸失利益・会社役員について

赤い本(逸失利益・会社役員)

会社役員の報酬については、労務提供の対価部分は認容されるが、利益配当の実質を持つ部分は消極的である。

青い本(逸失利益・会社役員)

名目的な報酬額をそのまま基礎収入とするのではなく、労務対価部分の金額を適宜認定して基礎収入額とすることになる。

自賠責

独自の基準有り(省略)

解説

(1)労務対価部分に含まれない部分とは、実質的な利益配当分、情誼的に交付される部分、法人税の負担を軽減するための加算部分等があります。

(2)労務対価部分の算定をするに当たっては会社の規模、同族会社か否か、利益状況、当該役員の地位・職務内容、年齢、役員報酬の額、他の役員・従業員の職務内容と報酬・給料の額、親族役員と非親族役員の報酬等の差異、事故後の当該役員及び他の役員の報酬額の推移、類似法人の役員報酬の支給状況等が総合的に判断されます。

(3)会社役員の会社からの収入が給与と役員報酬に分かれている場合、実態を反映している場合には少なくとも給与部分は労務対価性を有するという判断になると考えられます。

(4)証拠として裁判所に提出することが望ましい資料としては、確定申告書、会社の実態、当該役員の仕事内容についての証言・陳述書、法人税の申告書・貸借対照表・損益計算書、勘定科目内訳明細書中の役員報酬手当及び人件費の内訳書等があります。

(5)会社役員の方の逸失利益は、給与所得者の方と比べて紛争になることが多いです。これは、保険会社の提示額が少ないので、裁判までやらないと妥当な金額にならないこともあるということが原因だと思います。休業損害・逸失利益共に、事業所得者や会社役員の方はきちんとした証拠を集めることが重要です。

事例

(1)会社代表取締役(男性・症状固定時59歳)につき、事業が極めて不確かなため事故年の申告所得額を基礎とする金額を認めなかったが、事故前数年間にわたって賃金センサス男性大卒平均をはるかに上回る所得があったことから、67歳までの8年間について年収1,000万円を基礎とした算定が認められた。

(2)41歳・男性・会社員(いわゆるサラリーマン重役)が受傷後、勤務先会社を退職せざるを得なくなったことによる逸失利益として、退職前の給与・賞与を基礎として67歳まで1億6,500万円の逸失利益が認められた。