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交通事故知識ガイド賠償額にかかわる「赤い本」と「青い本」

症状固定前の自宅付添費

赤い本

(明確な基準はないが)必要かつ相当な金額。

青い本

(明確な基準はないが)必要かつ相当な金額。ただし、入院付添費よりは低額となることが多い。

自賠責

医師が看護の必要性を認めた場合に次の通りとする。ただし、12歳以下の子供の通院等に近親者等が付き添った場合には医師の証明は要しない。

(1)厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介所の紹介による者
立証資料により必要かつ妥当な実費とする。
(2)近親者等
1日につき2,050円とする。ただし、近親者等に休業損害が発生し、立証資料等により上記の額を超えることが明らかな場合には必要かつ妥当な実費とする。

解説

(1)付添費総論
受傷者の介護・介助をする必要がある場合には、付添人を依頼するための費用が、「付添費」として認められます。付添費には、①職業的な看護・介護者に報酬を支払う場合、②親族等が無償でこれを行う場合があります。②の場合でも、判例上、被害者自身の損害として付添費が認められています(最判昭和46年6月29日)。
付添費は、時期により、ⅰ入院中の付添費、ⅱ通院期間中・症状固定時までの通院付添費・自宅付添費、ⅲ症状固定後の将来介護費に区分されます。
(2)症状固定前の自宅付添費
ここでは、ⅱ通院期間中・症状固定時までの自宅付添費について、詳しく説明します。
自宅付添費については、退院後、自宅で療養を行うにあたり、身体の障害が重く、日常生活上介護を受ける必要性がある場合には、損害として認められますが、通常、自宅付添の必要性の判断は、入院の場合の付添の必要性よりも厳格に判断されると言われております。
また、自宅付添費の金額については、病院で付き添う場合に比べて、拘束時間などにつき融通が利くと思われるため、入院付添費よりも低額になることが多いとされています。なお、自賠責保険の基準では、親族等による付添の場合、1日につき2,050円とされています。
(3)まとめ
症状固定前の自宅付添費については、まずは、その必要性を丁寧に主張していく必要があります。裁判例においても、要介護状態とされる後遺障害1、2級といった重傷事案だけでなく、それ以外の障害の場合にも自宅付添費は認められています。
また、自宅付添費の金額については、明確な基準がある訳ではありませんが、裁判例を分析すると、被害者の受傷の部位や程度からどの程度の介護・介助を必要としたか、実際にどのような介護・介助を行ったのか、が重要な判断要素となっているようです。
被害者の立場からは、上記の点に注意をして、主張・立証をしていく必要があります。

事例

症状固定前の自宅付添費に関する裁判例を紹介します。

(1)両膝関節に機能障害を負い、また、腓骨神経麻痺による知覚障害といった傷害を負い、これにより併合8級が認定された男性(症状固定時51歳)について、後遺障害の程度から、排便、着替え、起き上がる場合、しゃがむ場合等の随時介護で足りるとして、親族による自宅付添について、1日あたり2,500円を退院日から症状固定時まで608日間認めました(東京地判平成8年5月9日)。

(2)大腿骨骨幹部骨折、第3~5肋骨骨折等の傷害を負った女性(59歳)について、退院後、しゃがむこともできず、歩行時には杖が必要で、夫の介護がないと日常生活が困難な状況にあったとして、親族による自宅付添について、1日あたり4,000円を、55日間認めました(東京地判平成10年8月26日)。

(3)左膝関節機能障害(12級7号)の男性(固定時24歳)につき、入院を希望していたが病室に空きがなくて入院できず、左太股の付け根から左足先にかけてギプスで固定してほとんど寝ている状態であり、食事以外のほとんどにつき母の介助を必要としたとして日額8,000円、30日間、合計24万円を認めました(東京地判平成17年6月21日)。