家屋・自動車等改造費

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損害賠償の基準
(赤い本と青い本は賠償基準をまとめた本です。自賠責保険は加入義務のある保険です。)
赤い本の損害賠償基準
- 被害者の受傷の内容、後遺症の程度内容を具体的に検討し、必要が認められれば相当額を認める。
- 浴室便所出入口自動車の改造費などが認められている。
- 転居費用及び家賃差額が認められることがある。
青い本の損害賠償基準
- 家の出入口・風呂場・トイレなどの設置・改造費、ベッド・椅子などの調度品購入費、自動車の改造費などにつき実費相当額。
自賠責保険の損害賠償基準
- 特段の基準なし
家屋・自動車等改造費Q&A
- Q家屋改造費はどのような場合に認められますか?
- A重度の後遺障害が残った場合に家屋を改造する必要がある時などに認められることが多いです。具体的には後遺障害等級1級又は2級の場合に認められることが多いです。
- Q家屋改造費は改造にかかった費用全額が認められますか?
- A改造等の必要性、支出額の相当性、被害者以外の家族が改造などにより事実上享受する便益などを考慮して、現実に支出した費用のうちの一部に限定されることもあります。
- Q3級以下の後遺障害でも家屋改造費は認められますか?
- A認められることは少ないですが、症状や必要性によっては認められることもあります。
- Q自動車改造費はどのような場合に認められますか?
- A重度の後遺障害が残った場合に自宅を改造する必要がある場合などに認められることが多いです。具体的には後遺障害等級1級又は2級の場合に認められることが多いです。
- Q自動車改造費は改造にかかった費用全額が認められますか?
- A新車を買った場合、障害者仕様とするために標準の仕様と比べて高額となった差額分が改造費用として認められることが多いです。
- Q3級以下の後遺障害でも自動車改造費は認められますか?
- A認められることは少ないですが、症状や必要性によっては認められることもあります。
過去の具体的な事例
横浜地方裁判所令和2年1月19日判決
【結論】
- 自宅改造費合計約1267万円が認められた
【理由】
- 完全対麻痺、膀胱直腸障害の50歳(後遺障害等級1級)
- 旧宅をリフォームして車いすで生活できるようにするのは困難
- 建物を新築
- 新築代金のうち、福祉設備にかかった費用、設計費用、旧宅解体工事費用、測量費用、擁壁工事費用豪快1267万円
千葉地方裁判所令和2年9月10日判決
【結論】
- 建物の改装費用及び原状回復費用26万円が認められた
【理由】
- 左下肢のRSDの43歳(後遺障害等級併合6級)
- 手すり設置、段差解消のための改装を実施
- 賃貸住宅明渡の際は原状回復費用が必要
東京地方裁判所平成28年2月25日判決
【結論】
- 賃貸マンション転居費用20万円が認められた
【理由】
- 四肢痙性麻痺等の7歳(後遺障害等級1級)
- 従来の賃貸マンションからバリアフリーの賃貸マンションへの転居で20万円が必要
名古屋地方裁判所令和2年11月20日判決
【結論】
- 車両改造費として購入5回分合計257万円の認められた
【理由】
- 四肢麻痺及び高次脳機能障害の54歳(後遺障害等級1級)
- 福祉仕様と通常仕様の車両差額78万円
- 耐用年数は6年で今後5回購入が必要
まとめ
- 家屋改造費・自動車改造費は、被害者の受傷の内容、後遺症の程度・内容を具体的に検討し、必要が認められれば相当額が認められることがあります。具体的には後遺障害等級1級又は2級の場合には認められることがあります。
- 後遺障害等級が3級以下の場合でも、特段の必要がある場合には家屋改造費・自宅改造費が認められることがあります。