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交通事故知識ガイド主婦の交通事故の解決Q&A

高齢者の主婦の場合、休業損害はどのように計算されますか?

弁護士からの回答

解説者の弁護士前田徹

高齢主婦については、家事労働の実態からして、全年齢平均の賃金センサスではなく、年齢別の賃金センサスや全年齢平均の賃金センサスの○○パーセントといった形で、通常よりも減額して計算される場合が多いです。

主婦の基礎収入の算定方法

主婦が交通事故によって負った怪我を原因として家事労働ができなくなった場合、休業損害を請求することができます。

主婦の休業損害は、原則として、事故に遭った年の賃金センサスの女子の全年齢平均を用いて算定します。ただし、年齢、家族構成、身体状況及び家事労働の内容などに照らして、生涯を通じて全年齢平均賃金に相当する労働を行い得る蓋然性が認められない特段の事情が存在する場合には、適宜減額されることがあります。

高齢の主婦の場合

高齢の主婦の場合、高齢の主婦が行っている家事労働は、もはや自ら生活していくための日常的な活動であることや年齢からして通常の主婦の労働量よりも少ない労働量であることを理由に、全年齢平均の賃金センサスを休業損害算定における基礎収入とはせずに、①65歳以上の賃金センサスを基礎収入とする場合、②全年齢平均の賃金センサスの○○パーセントを基礎収入とする場合、③65歳以上の賃金センサスの○○パーセントを基礎収入とする場合、など、減額して計算する場合が多いです。

そもそも主婦の休業損害は、主婦の家事労働が他人のために行う労働であるからこそ、財産的に評価されるものです。高齢の主婦の場合、特に高齢の夫と2人暮らしをしている場合などは上述のとおり、自らの生活のために家事を行っている部分も大きいことから減額の対象とされることが多いです。

高齢の主婦の場合の基礎収入の算定方法に関する過去の裁判例

①子及び孫2人と同居し、掃除・炊事・洗濯等をしていた主婦(症状固定時73歳)について、賃金センサス女性学歴計65歳以上平均274万4,400円を基礎収入とした(大阪地判平成23年4月25日:損害賠償額算定基準平成28年版98頁より引用)

②症状固定時66歳の主婦について、夫・子及び夫の母と同居し、家事全般に従事するほか、シルバー人材センター業務にかかわっていたことに照らすと、66歳に達した後においても相当程度の家事に従事することが見込まれたとして、賃金センサス女性学歴計全年齢平均の90パーセントである314万0,100円を基礎収入した(名古屋地判平成26年1月16日:損害賠償額算定基準平成28年版99頁より引用)

③夫が医療保護入院中であった主婦(固定時65歳)について、事故までほとんど夫の見舞にも行っておらず、家事労働を行っていたとは言い難い面があるが、事故に遭わなければ夫の身の回りの世話などをしていた可能性も否定できないとして、賃金センサス女性全年齢平均の351万8,200円の30パーセントを基礎収入として認めた(大阪地判平成18年6月26日:損害賠償額算定基準平成28年版98頁より引用)

などの事例があります。

高齢の主婦の休業損害は、一般的な主婦より減額の対象になりやすいものの、上記の裁判例のとおり、各家庭の状況や過去の被害者の家事従事度によっても判断はかなり異なりますので、被害者が実際に行っていた家事の状況を具体的に主張していくことが望ましいと言えます。

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