防犯カメラ映像の入手方法
最終更新日:2026年08月04日

- 監修者
- よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
- Q防犯カメラ映像を確認したいです。どうすればよいですか?
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まずは、事故現場の近くにある店舗・駐車場・マンションなどの管理者に、映像が残っていないか確認してみましょう。
ただし、個人からの依頼では、プライバシーや個人情報保護を理由に、映像の閲覧やコピーを断られることもあります。
その場合は、弁護士による弁護士会照会、警察が作成した刑事記録の確認、保険会社・調査会社による調査、裁判所の手続きなどを検討します。
防犯カメラ映像は、数日から数週間で上書きされて消えてしまうことが多いため、できるだけ早く動くことが大切です。

目次

防犯カメラ映像の重要性
交通事故では、事故がどのように起きたかが大きな争点になります。
特に、過失割合を判断する場面では、事故当時の状況をできるだけ正確に確認する必要があります。信号の色、一時停止の有無、車や自転車の進行方向、衝突した位置、速度、車線変更のタイミングなどによって、過失割合が変わることがあるためです。
しかし、交差点での事故や右折車と直進車の事故、駐車場内の事故、歩行者や自転車との事故などでは、当事者の言い分が食い違うことも少なくありません。
このようなとき、防犯カメラ映像は、事故状況を客観的に示す証拠になることがあります。映像によって事故前後の動きが確認できれば、どちらの説明が実際の状況に近いのか、提示された過失割合が妥当なのかを検討しやすくなります。
そのため、防犯カメラ映像は、過失割合を認定するうえで重要な資料になることがあります。
過失割合とは
過失割合とは、交通事故の責任がどちらにどれだけあるかを、割合で示したものです。「8対2」「7対3」のように数字で表し、数字が大きいほど、その事故について重い責任があると考えられています。
被害者にも過失があると、その割合に応じて賠償金が減らされます。これを過失相殺といいます。たとえば、損害額が100万円で、自分の過失割合が2割とされた場合、受け取れる金額は80万円です。
過失割合は、事故の状況や過去の裁判例などをもとに、当事者同士の話し合いで決めます。実際には、保険会社を通じて話し合うことが多いです。話し合いでまとまらない場合は、最終的に裁判で判断されることもあります。
いずれの場合も、事故状況を裏づける証拠があるかどうかが、過失割合の判断を大きく左右します。
防犯カメラは過失割合の重要な証拠

過失割合は、事故当時の当事者それぞれの動きや、交通ルール違反・不注意の有無をもとに判断します。たとえば、信号無視や一時停止違反、速度超過、急な進路変更などがあったかどうかは、過失割合に影響することがあります。
防犯カメラ映像は、こうした事故前後の状況を客観的に確認するための重要な証拠になることがあります。
たとえば、相手が「一時停止をした」と主張していても、映像に一時停止せず交差点へ入る様子が映っていれば、その主張と実際の状況が違う可能性を示せます。信号の色や車の進行方向、衝突した位置などが分かれば、相手が主張する過失割合が妥当なのかも検討しやすくなります。
当事者の説明や目撃者の記憶は、時間が経つにつれてあいまいになったり、思い違いが含まれたりすることがあります。一方で、防犯カメラの映像は、事故当時の状況を客観的に記録しているため、相手の説明と実際の事故状況が食い違う場合の確認材料として役立ちます。
ただし、防犯カメラ映像だけで、必ず過失割合が決まるわけではありません。角度や画質、撮影範囲によっては、肝心の部分が映っていないこともあります。
さらに、映像から分かる事実をどう評価するかは、道路の状況や交通規制、当事者の注意義務なども踏まえて判断します。防犯カメラ映像は強い証拠になり得ますが、過信は禁物です。ほかの証拠とあわせて、総合的に検討することが大切です。
防犯カメラ映像の入手方法
では、防犯カメラ映像はどのように入手するのでしょうか。
代表的な方法として、管理者に直接依頼する方法、警察が作成した刑事記録を確認する方法、弁護士会照会を利用する方法、保険会社・調査会社に確認してもらう方法、裁判所の手続きを利用する方法があります。
それぞれについて、くわしく見ていきましょう。
直接管理者に開示依頼
まず考えられるのは、防犯カメラを管理している店舗や施設に、直接開示を依頼する方法です。事故現場の近くにあるコンビニやスーパー、飲食店、駐車場、マンション、ビルなどが候補になります。
事情をていねいに説明すれば、映像が残っているか確認してもらえたり、保存に応じてもらえたりするケースもあります。
ただし、防犯カメラには、事故と関係のない人や車も映り込みます。管理者は第三者のプライバシーや個人情報を守る必要があるため、個人からの閲覧やコピーの依頼には応じられないと判断することも少なくありません。
そのため、最初から映像の閲覧やコピーを求めるのではなく、まずは「映像が残っていれば保存してほしい」と伝えることが大切です。
警察経由で取得
事故現場の近くに防犯カメラがありそうなときは、警察に確認をお願いする方法があります。
防犯カメラ映像は、一定の期間が過ぎると上書きされて消えてしまうことが多いです。そのため、「事故現場近くの〇〇に防犯カメラがあるようなので、まだ確認していなければ確認してもらえませんか」と、早めに警察へ伝えてみましょう。
ただし、警察が取得した映像を、被害者が必ず見られるとは限りません。捜査中の資料は、原則として自由に開示されないからです。
もっとも、警察が映像を確認していれば、その内容が捜査報告書・実況見分調書などの刑事記録に反映されることがあります。
捜査報告書では防犯カメラの動画の内容を解析した内容が報告されていることがあります。
また、実況見分調書には、事故現場の状況、車両の位置、道路の様子、当事者の説明などが記録されます。正確な調書が作成されていれば、後日、事故状況を確認するための重要な資料になります。
刑事記録を確認できる時期や取り寄せ先は、刑事事件の進み方によって変わります。捜査中は、基本的に取り寄せできません。不起訴になったときは検察庁、刑事裁判中は裁判所、裁判が確定したあとは検察庁に確認することになります。
なお、物損事故(車の破損など財産上の損害のみの事故)として処理されていると、警察が映像の確認まで行わないこともあります。
けががあるときは、医師の診断を受けたうえで、人身事故として届け出ることも検討しましょう。
弁護士会経由で取得(23条照会)
防犯カメラの管理者が任意の開示に応じてくれないときは、弁護士に依頼して、「弁護士会照会」を行ってもらう方法があります。
弁護士会照会とは、弁護士法23条の2にもとづき、弁護士が所属する弁護士会を通じて、役所や会社、団体などに必要な事項の報告を求める制度です。
交通事故では、防犯カメラを管理している店舗や駐車場、マンション管理会社、バス会社、タクシー会社などに対して、映像の有無や保存状況、事故当時の映像内容について照会することが考えられます。
照会を受けた側は、正当な理由がないかぎり、報告をすべき義務を負うと考えられています。そのため、当事者本人が自分で問い合わせるよりは、応じてくれることが多いです。
ただし、弁護士会照会を使えば、必ず映像を取得できるわけではありません。
すでに映像が上書きされて消えていることもありますし、照会先が回答を拒んだり、一部しか答えなかったりするケースもあります。
保険会社・調査会社経由で取得
保険会社や調査会社が、事故調査の一環として、防犯カメラ映像の確認を試みることがあります。
防犯カメラの管理者の中には、「個人には映像を見せられないものの、保険会社や調査会社であれば開示してもよい」と判断するところもあります。そのため、個人での依頼が難しいときでも、保険会社や調査会社を通じて、映像の有無や保存状況を確かめられることも確率は低いですがあります。
ただし、保険会社がどこまで調べてくれるかは、事案や契約内容、担当者の判断によって変わります。
また、相手方の保険会社が確認した内容が、必ずしもこちらに有利に使われるとは限りません。
自分にとって重要な証拠になりそうな場合は、保険会社任せにせず、弁護士にも相談しながら進めるとよいでしょう。
裁判所経由で取得
防犯カメラの管理者が、どうしても開示に応じてくれないときは、裁判所の「証拠保全」という手続きを使う方法があります。
証拠保全とは、証拠が失われたり、あとから確認しにくくなったりするおそれがあるときに、裁判所の関与で証拠を確保しておく手続きです。
証拠保全が認められると、決められた日に、裁判官の立ち会いのもとで映像が確認され、その内容が記録に残されます。この記録は、あとの示談交渉や裁判で証拠として使えます。
ただし、証拠保全は、申し立てれば必ず認められる手続きではありません。なぜ今すぐ確保する必要があるのかを、資料をそえて具体的に説明する必要があります。申し立ての準備中に映像が消えてしまう可能性もありますので、証拠保全を検討する場合でも、並行して管理者への確認・保存依頼や、警察への確認は進めておくべきです。
よくあるご質問
ここからは、防犯カメラ映像の確認や取得について、よくいただく質問にお答えします。
防犯カメラはどのような場所にある?
防犯カメラは、思っているより多くの場所にあります。事故現場の周辺なら、コンビニやスーパー、飲食店、ガソリンスタンド、駐車場、マンション、ビルなどに設置されていることが多いです。
さらに、バスやタクシー、トラックのドライブレコーダーも、有力な映像源になります。交差点や店舗の出入口の近くなら、事故の様子が映っていることもあります。
まずは現場の周りを見渡して、カメラがありそうな場所を探してみましょう。
事故現場近くに防犯カメラがあるかはどう調べる?
まずは、事故現場の周りを実際に歩いて確認しましょう。店舗の入口や駐車場の精算機の近く、マンションやビルの出入口、道路に面した外壁などにカメラが付いていることがあります。
近くの店舗や施設に、映像が残っていそうか問い合わせる方法もあります。ただ、いきなり訪ねて強く開示を求めると、相手に警戒されかねません。事故の日時と場所、必要な時間帯を伝えたうえで、映像の有無や保存できるかをたずねるとよいでしょう。
防犯カメラの映像はどの位で消えてしまう?
防犯カメラ映像は、数日から数週間で古い映像から自動で上書きされて消えてしまうことが多いです。
やっかいなのは、いつまで残っているかが、外からは分からない点です。「まだ大丈夫だろう」と思っているうちに、肝心の映像が上書きされてしまうことも少なくありません。だからこそ、映像が必要になりそうなときは、できるだけ早く動くことが大切です。
防犯カメラの映像を消させないようにするには?
まずは管理者へ、「保存だけでもしてほしい」と早めに伝えることが大切です。見せてもらえるかどうかは、いったん横に置いて構いません。
防犯カメラ映像は、一定の期間が過ぎると、古いものから自動で上書きされてしまうことが多いです。そのため、事故の日時と場所、残してほしい時間帯を伝えて、その映像を上書きしないようお願いしましょう。
閲覧やコピーを断られても、あきらめる必要はありません。保存さえしてもらえれば、後日、弁護士会照会や、保険会社・調査会社からの連絡につなげられることがあります。
「警察が第三者から取得した防犯カメラ映像」は見せてもらえる?
警察が、店舗や施設などの第三者から、防犯カメラ映像を取得していることがあります。ただ、その映像を被害者がすぐに見せてもらえることは通常ありません。捜査中の資料は、原則として自由に開示されないからです。
もっとも、警察が映像を確認していれば、その内容が捜査報告書や実況見分調書などに反映されていることもあります。そうなれば、後日、刑事記録を通じて事故の状況を確認できる可能性があります。
ただし、刑事記録を見られる時期や方法は、捜査の段階によって変わります。捜査中なのか、不起訴のあとなのか、裁判中なのか、確定後なのかで、確認できる範囲は変わってきます。警察が映像を持っていそうなときでも、すぐに見られるとは限らないと考えておきましょう。
「警察が管理している防犯カメラ映像」は見せてもらえる?
警察署や交番などに設置された、警察が管理している防犯カメラの映像も、有力な証拠になる可能性があります。
しかし、こうした映像も、被害者が望めば当然に見られる、というわけではありません。
警察が管理する映像は、捜査や公共の安全に関わる資料として扱われることがあるからです。そのため、開示を求めても、すぐに閲覧やコピーに応じてもらえることは通常ありません。
ただ、その映像が事故の捜査に使われていれば、実況見分調書などの刑事記録に反映されていることもあります。確認できるかどうかは、刑事手続きの進み方や、記録の中身によって変わります。判断に迷うときは、弁護士に相談し、刑事記録の確認方法を検討することをおすすめします。
防犯カメラ映像が入手できない場合、他の有力な証拠は?
防犯カメラ映像が手に入らなくても、ほかの証拠から事故の状況を示せることがあります。
たとえば、ドライブレコーダーの映像や事故現場の写真、車の傷の位置や程度、実況見分調書、診断書、修理見積書、目撃者の証言などです。信号の有無や道路標識、一時停止線、道路の幅、見通しのよさといった現場の状況も、過失割合を考えるうえで大切な手がかりになります。
事故の直後なら、車の位置や傷んだ部分、ブレーキ痕、破片の散らばり方を写真に残しておくと役立ちます。相手の説明が途中で変わっていないか、保険会社とのやり取りを記録しておくことも大切です。
防犯カメラ映像がないからといって、過失割合を争えないわけではありません。いくつかの証拠を組み合わせれば、事故の状況を説明できることがあります。
まとめ:悩んだらまずは弁護士に相談
防犯カメラの映像は、過失割合を考えるうえで重要な証拠になることがあります。
ただ、時間が経つと上書きされて消えてしまううえ、個人からの開示依頼はプライバシーなどを理由に断られることも少なくありません。
映像を確認する方法はいくつかありますが、どれが向いているかは、事故の内容や手続きの進み方によって変わります。判断に迷ううちに、映像が消えてしまうこともあります。
過失割合に納得がいかないときや、どのような証拠を集めればいいか分からないときは、一人で抱え込まず、まずは交通事故に詳しい弁護士に相談してみてください。
よつば総合法律事務所では、交通事故の被害者の方から、過失割合や証拠収集に関するご相談を承っております。交通事故にお悩みの方は、よつば総合法律事務所にご相談ください。

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弁護士 粟津 正博













